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2009年1月 1日 (木)

東名と中央の選択

 RZ350でのツーリングは 沖縄一周、九州一周、福岡→東京

 九州→東京ツーリングでは、諏訪湖で凍えそうになった。
 自らの運転で山口県を超えて東に出るのは初めてだった。

 親戚や友達の家を泊まり歩いた最終日。
 その日は神戸から高速に乗り、一気に東京に入るつもりで宿を出た。
 関西は快晴。
 その日のうちの東京入りに、なんの疑念が入る余地もない。

 関西ではさしていた陽が関ヶ原でかげり、愛知県境を超えた頃から雲行きが怪しくなる。
 東名高速と中央自動車道の二者択一が近づいてきた。
 山口より東に出たことがないのだから、もちろんどちらの道も未知の領域。
 「東名はトラックが多く、道が混む。中央はすいていて走りやすい」
 ライダーが集まる喫茶店で、バイク仲間からそう聞いたことがあった。

 陽は暮れつつある。少しでも速い道がいい。
 十年後、中央分離帯に大クラッシュすることになる小牧JCT分岐点。
 ウィンカーを左に出して、中央へRZ350を進める。

 それが失敗だった。

 3月と言えども日がかげると寒い。
 愛知から再び岐阜、小雨がぱらついてきた。
 冬用の防寒つなぎを着込んでいるが、カッパは持ってこなかった。

 そして岐阜から長野に入った頃、みぞれ混じりの雪になった。
 縫い目だらけの防寒具は、至る所から雨が浸水してくる。
 すぐにつなぎからトレーナー、そしてTシャツに水が到達した。
 「トラックは少ない」のかと思っていたら、それでも中央にもトラックはいる。
 バイクで雪道を走った経験はない。ましてや雪の高速など夢で見たこともない。
 時速50kmの最低速度がやっとのRZ350。
 そのすぐそばを遠慮会釈無く、トラックが水しぶきをあげていく。
 ヘルメットのシールドに泥水をかぶる。
 タダでさえ悪い前方視界がゼロにちかづく。
 慌てて、路肩に出て手袋でシールドをぬぐう。
 ほぼ、手の感覚はない。

 意識が遠のいてくる。
 このままでは危ない。
 走り続けなければ東京には着かない。
 その使命感が休憩さえ許そうとしない。

 ガソリンゲージが中間をさしている。
 そうだ。
 給油ということにしよう。

 諏訪湖サービスエリアにウィンカーを出す。
 満タン給油。
 これで東京までのガスは確保した。
 ところが、財布を出そうにも手が動かない。
 「寒いでしょ?」
 スタンドの兄ちゃんが、ゆっくりでいいですよと優しい。

 隣の給油レーンから見下ろしていたトラックのおいちゃんから声が飛んだ。
 「兄ちゃん、死ぬぞ!」
 路上ではこの一言が明快な説得になる。
 無茶な運転、無茶な横断。
 見かねて真っ先に出るのがこの言葉だ。

つづく

 明けましておめでとうございます。

 今年も毎日1篇 書いていきます。

 時々 しらべるが行く を読みに来てくださいね。

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