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2010年2月 3日 (水)

国会で問題になった「学習と科学」

「学習と科学」が発売される前日。
小学校の 終わりの会

「明日は「学習と科学」の販売日です。今から袋を配ります。買う人はお金を入れて来なさい」
担任の先生が、こう言って茶封筒の集金袋(紙集)を配る。
表面には、月ごとに領収印を打つようになっていて、何月号を買ったかがわかる。
ラジオ体操のカードで、欄を印鑑で埋めることをすり込まれた世代である。
否が応でも、この欄をできるだけ印鑑で埋めたかった。

ただし、当時の値段で1誌 400円弱。
「学習と科学」両誌を買うと 800円弱。
定期購読制度ではないので、毎月 親にねだってお金をもらわなければならない。
毎月のおこずかいの数倍にあたる金額を毎月ねだるのは、こどもの頭で考えても、気が引ける。
そこで、よりふろくが魅力的な「科学のみ」
しかも、気に入った付録の月だけという買い方になった。

発売日になると、学研の代理店をしているおじちゃんがライトバンを学校の廊下につける。
2時間めが終わると、集金袋を手に一斉にライトバンへ走る。

「おじちゃん、2年の科学ちょうだい」
といって封筒を渡す。
子供が学校で「ふろく」(正式名称は教材)を開けて遊ばないよう、教材の箱には「お家で開けましょう」という注意書きが記されていた。

件の万歩計はプラスチック製で、子供の手のひらでやっと持てるほどの大きさ。
今、定規を片手に想像するに 80×50 mm はあった。
ベルトに付けるのではなく、手に持って計測する。
手を振る毎に振り子状の重りが往復して、カウンターの数字が増える。
筐体のカバーは青がはいった半透明になっていて、中の仕組みが見通せた。
時々、ちゃんと動いているかなとこちらを向ける。
振り子は確かに動いていて、歩数を刻んでいた。

家に帰ると、その日の歩数を日記につける。
ずいぶんと健康的な子供である。

日本じゅうで、科学の子供が使っていた 科学の万歩計
恐らくそのすべては、はるか昔に燃えないゴミに消えてしまったのだろうが、せめて写真だけでもあれば、もう一度みたい。

1972年、国会で「買えない子供が可愛そう」「学校で一企業の商品を売るのはおかしい」と取り上げられたことが契機となり、学研は自主的に学校から撤退。
「学研のおばちゃん」が家庭に届ける方式に移行した。
メディアが報じている「最盛期は 670万部を売った」というのは、この移行後のこと。
学校で売っていたからたくさん売れていたのではなく、女性が訪販で低額の定期商品を売るという商売が、消費者に受け容れられたのである。

この学研のおばちゃんは、名称をコンパニオンといった。
一部の温泉で、希望者に対して 有償でお酒の相手をする女性の名称として使われるのは、ずいぶん後のことだ。

つづく

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