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2015年10月19日 (月)

バリウム検査 その前に筋肉注射を回避する

名前を呼ばれ、通された狭い廊下の両脇には、開診前だというのに多くの人が居た。
ようやく空いた椅子を探し、腰かける。

開診と同時刻に入れた検査予約だから、待たされることはないだろう。
そう思って、本もkindleも持ってきていない。

目を閉じて待つ
でも一向に名前を呼ばれない
さっきから雑音として聞こえていた人の会話を、言葉として認識し始めた。


「あんたが病院来るなんて、よっぽど悪いんだね」
ばぁさんのだみ声に、独演会をしていたじーさんが応える。
「おぅよ。インフルエンザの注射とかしたことねーからな」

悪い予感がして、薄目を開けて見やると案の定、
じーさんはマスクをしていない。

しまった。
病院に来る時はマスクを持って来ないといけないのだった。
マスクを忘れた客のために、受付でマスクを売ってくれればいいのに。
1つ50円くらいだったら買う。いや、100円でもいい。
考えても、後の祭り。

じーさんのとなりに居た若者が、席を立ちこちらへ移ってきた。
僕がとなりにいても、同じようにしただろう。

「すみませんが、ちょっと静かにしてくださいね」
コロコロで床のゴミを掃除にきたおばちゃんが、じーさんに注意を与える。
患者に注意すると言うことは、看護師なのだろう。
そういえば、白衣を着ている。

それでもじーさんは、話をやめない。
再び、耳の焦点を外して雑音の一部に変えていく。
それにしても、こんなに待たされるのか?
本を持ってくればよかった。
そう思った時、おばちゃんから名前を呼ばれた。


彼女に招かれた部屋へ向かう。
じーさんの前を通る時は、息を止めた。
家に帰ったら、うがいを入念にしなければ・・

薬剤やガーゼなどが雑然と置かれているところを見ると、どうやら僕は処置室に来ているらしい。

「緑内障の検査受けてるの?」
年上なのか、年下なのかわからないおばちゃん(たぶん看護師)が、ため口で尋ねる。
遠慮がないから、人はおばちゃんと呼ぶ。
ということは、最近、遠慮がなくなってきた僕はおじちゃんの資格を得たことになる。


「半年に1度、検査を受けているんです。次は・・」
どれだけ検査を受けているかを手短に話し、注射回避を訴える。
奥の部屋へ入っていくおばちゃん。
その先には医師がいるのだろう。
「緑内障?あぁしなくていいよ」
漏れてきたその言葉にすべてを察して、安堵した。

なにごとも経験と言うが、リスクのある経験はゴメンだ。
いや必要ならば、リスクもいた仕方ない。
無用のリスクはゴメンだ。


初めて来る病院の見取り図は、もちろん把握していない。
それでも、レントゲン検査室がどこにあるかは、なんとなくわかる。
中規模病院の場合、それはおよそ地下にあるものだ。

そこには、町のたばこ屋さんのようなガラス戸の受付。
そして、お前は誰だと言わんばかりのどでかい監視カメラが正面から、僕をにらんでいた。

つづく

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