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2015年11月30日 (月)

ローカル線は駅舎を楽しむのが難しい

いすみ鉄道はワンマン運転
両端の先頭左側に運転席があり、その右側には人が立てる程度のスペースがある。
松浦鉄道に乗った時は、たびら平戸口駅の手前でこのスペースから前方に開けてくる風景を撮った。


車内で立っている人は2人。
そのうち1人は件の前方スペースに陣取って、ずっと写真を撮っている。
もう1人は後方運転席(逆方向ダイヤではここで運転する)の右側に陣取り、去って行く風景をおさえている。

それぞれ納得いく意図があっての立ち乗りだ。
この日のダイヤは、ちょうどよい定員に収まっている。


「菜の花のシーズンは混むでしょうね」
サオリさんとアラブさんが話している。
4ヶ月前から「旅の栞」を準備してきたアラブさんは、どのような心境だろう。
少なくとも、僕とサオリさんはいよいよ始まったいすみ鉄道の旅に穏やかな高揚を感じている。


大原を出るとすぐ、右側の車窓に黄色い花畑が広がっている。
菜の花?
いやいすみ鉄道が菜の花に囲まれるのは3月~5月のはず。
あれはなんでしょうね?

3人とも音楽を聴かせると曲名を教えてくれる機種の電話機を持っているが、写真を撮ってその草花の名前を教えてくれるというところまでは至っていない。
謎は先送りになった。


10:49
西大原は無人駅
いわゆる典型的な"3セクの無人駅"の風情

西大原を出てしばらくすると、運転手がガイドを始める。
右手の池の畔にムーミンのキャラクターたちが居るのだと言って、スピードを緩める。

一斉に右側の乗客は首をひねって振り返り、左側の乗客は立ち上がる。
池のほとりにムーミン一家が佇んでいた。

民家の軒先には柿がなっている。
「子供の頃は近所に柿がなってましたよね」
それは都会で育った2人も、田舎で育った僕も同じ原体験のようだ。


10:55
上総東
ここも朽ちた無人駅
できればゆっくりと駅舎を撮りたいところだが、ロングシートの座席からではそうもいかない。
ローカル鉄道を旅する者には、駅を楽しむことは共通の難題なのである。


ローカル鉄道のローカルは「地域の」という意味であり、田舎という意味ではない。

たまたま近隣に住む者同士がとなり合わせ、駅前のスーパーの話になる。
そうした時互いに「ローカルな話題だねぇ」と笑い合う、あのローカルには「その地方に限定的な」という意味がある。
全国に張り巡らされた新幹線はローカル線ではない。
複数の区をむすぶ山手線も違う。
だがもしも、東京都港区内に始発と終着をもつ路線があれば、それは都会にあってもローカル線である。


しかし、一般にはローカル線は「地方」の「田舎」にある。
それは採算にのらないからだ。
JRが経営に見切りを付けて廃線を決める。
それに対して地域の足がなくなると困る住民から存続を望む声が上がる。
そこで、地方自治体が音頭を取り、第三セクターなどの方法を探る。

いすみ鉄道も1987年7月7日、JR木原線廃線をうけて設立された第三セクターである。
ちなみに午後から乗車する小湊鐵道は一度もJR路線だったことはなく、開業から今日までずっと私鉄である。


採算が厳しい田舎にあるがゆえ、ダイヤの本数が少ない。
1時間に1本あればいい方で、2時間~3時間に1本ということもある。

魅惑的な駅で途中下車すると、続きの路線を乗るための後発列車まで数時間空いてしまう。
それでは、1日に探索できる範囲が限られてしまう。


全国にあるローカル線のうち観光列車と言われる鉄道では、名物駅で10分ほど停車して駅舎撮影などの散策時間をとるところがある。
いすみ鉄道、小湊鐵道にはそれはない。

いすみ鉄道は始発駅の「大原」から「大多喜」
「大多喜」から終着駅の「上総中野」
という2つの区間にダイヤを分けて、大多喜で散策する時間がとれるような趣向になっている。

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