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2017年3月14日 (火)

スマホの個室トイレさぼりを管理する空きトイレ通知システム

「大丈夫ですか?」
ドアの向こうから声がかかる。
それは総務部長のサカタの声だった。
彼が続ける
「ずいぶん長い時間おられるので心配になって見に来ました」

ここで黙っているのは得策ではない。
自分は逃げ場のない個室に居るのだ。
黙秘を続ければ、やましいことを自ら認めてしまうことになるし、本当に急病と勘違いされてドアの上に空いた隙間から、こちらを覗われるかも知れない。

あぁ大丈夫です。ちょっとお腹が痛くて、すみません
少し鼻にかかった声で応える。
できれば、正体を特定されずにこの場をやり過ごしたいという猿知恵だったが、それはすぐに浅はかなことだとわかる。

「タベイさんですか?大丈夫ならいいんです。あとで私の所に寄ってください」
サカタはかつて、部下としてタベイさんに仕えていた10歳年下の後輩だが、今や立場は逆転している。
それにしても、なぜ総務部長が来るんだ?



後にタベイさんが知ることになるそのカラクリはこうだ。
会社は数日前に「空きトイレ通知システム」を導入していた。
ドアに取り付けられていた銀色の物体が、そのセンサー。
ワイヤレス機器なので、配線は不要である。

「空きトイレ通知システム」とは、トイレとネットをIoTでつなぎ、トイレの空き情報が確認できるシステム。

IoTは「モノをインターネットにつなぐこと」
モノから収集したビッグデータを、モノ、サービスづくりに役立てるのが目的だ。
2014年8月時点で、IDC Japanは2018年に21兆円市場になるという見通しを発表していた。

当初は鉄道、自動車、社会基盤からビッグデータを得ることが主概念だったが、今や家電、そしてトイレのドアといった身近なモノをITで管理する概念になりつつある。
お出かけ先からエアコンのスイッチを入れたりする遠隔操作の宣伝文句に「IoT」が濫用されている始末だ。


空きトイレ通知システムは、富士通、伊藤忠商事などが提供を始めている。
本来は、忙しいビジネスマンがデスクのパソコンやスマホからトイレの空き状況を確認できるためのもの。
ただ、それだけではない。
個室に誰かが長時間滞在すると、管理者にメールを飛ばす機能もある。
つまり、誰かがトイレの個室で長時間休憩すると、管理者に連絡が行くシステムということになる。


内勤サラリーマンの3大さぼり要因は「ネット」「ゲーム」「たばこ」
パソコンはログ管理される時代になり、たばこは分煙による入退室管理が導入された。
すると新たな抜け道として「スマホ」による「トイレ個室」さぼりが生まれた。

どんな時代も真面目が最強ということは揺るがない。

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