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2018年7月14日 (土)

驚異の定年退職スピーチ(2)

花束とか持って電車に乗れませんから。だからと言って他に何も要りませんよ。お忙しい皆さんの時間をいただけるだけで、十分ありがたいことですから。

人の生き方の基本は「謙虚」と位置づけるサトウさん。
総務担当のタナカさんに対して、絶対になにも受け取らないぞという強い意志を見せた。
それに折れて花束や「間に合わせのメッセージ」といった趣向もなし。
記念品もなしかというと、それはさすがにスズキ部長が認めず「図書券を買って用意しておけ」ということになり、こっそりと田中さんがポケットに忍ばせている。


皆さん、おはようございます。
お忙しいなか、お時間をいただきありがとうございます。
今日でサトウさんが定年を迎えられます・・

スズキ部長が朝礼の口火を切る
人の言葉というのは、文字に書き起こすと、だいたい文法的にどこかおかしいもので、見るに堪えないのだが、空気を伝ってくる言葉に対して、そこまで神経質に聞いている人はいない。

だいたい、なんでお前が「お忙しいなか」とか言うんだよ。
それは、集まってもらっているオレの台詞だろ
スズキさんが用意している話しの尺よりも、長尺と思われる部長の話しが終わり、サトウさんの番がきた。
さぁ、サトウさん「構想10年」渾身のスピーチが始まる。



皆さん、今日は貴重なお時間を奪って申し訳ありません。
ご紹介いただいた通り、本日で失礼しますので、ご挨拶申しあげます。

私は常日頃から同じ会社に勤める者どうしは「家族」だと思ってきました。
従って、家族である皆さんがこれからも長くこの会社で勤められることをお祈りします。

ただ、日頃から同じ場所にいると、返って言いづらいことというのは少なくないものです。
恐らく、誰もが思っているのだろうけど、言いだしにくい。
こんなことを言ったら、調和を乱す輩と思われはしないか。

だから、私は最後にいただいたこの時間で、私が日頃思っていたけれど、私も、誰も言わなかったことを1つ申しあげたいと思います。


ウォシュレットで尻を浮かすのはやめましょう

サトウさんの耳に確かに、全員から「すぅーっ」と血が引く音が聞こえた。
世界中の「びみょー」という言葉は、この時サトウさんのためにあった。
世界中の「?」マークが、お忙しい中、サトウさんの聴衆たちの頭上に集まった。


個室に入ると、それはもう高い確率で便座に水滴が飛び散っています。
恐らく、何らかの理由でお尻が浮いてしまうのだと思います。

ここで、田中さんが必死で笑いをこらえているのが視界に入った。


私は初めのうちは「なんだよ、部屋を出て行く時は後ろを振り向いて、汚れていないか確認すればいいのに」と思っていました。

そして、そのまま座るわけにもいかないので、掃除をしていました。
ところが、おかげで金運がよくなり、お金に困らなくなったのです。

私はそのうち、水滴が飛び散っていると「よっしゃ」とガッツポーズをするようになっていました。
ますます、金運が上がっていくからです。

皆さんのおかげです。ありがとうございました。
ただ、ここに来なくなると、金運がおちるのでは?と心配です
(ここで、ようやく、かすかに笑いがとれた)

もしかすると、掃除のアルバイトでひょっこりお邪魔しているかも知れませんので、その節はよろしくお願い申しあげます。

皆さんのご健康とご発展を心よりお祈りしています。
お忙しいなか、お時間をいただき、ありがとうございました。

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