2019年12月 4日 (水)

くじらフライはまだなのか? 2018年の「5大ニュース」を振り返る

12月に入ると、そろそろ「しらべるが選ぶ今年の5大ニュース」を考え始める。

2018年は以下の5つを選んだ。
1.日本IWC脱退
2.ヴェイパーフライ4% 快走つづく
3.V・ファーレン長崎ゼイワンで30点
4.史上初米朝首脳会談
5.AIの停滞


「IWC脱退」により、2019年7月から日本は限定的な商業捕鯨を再開した。
去年の記事では「スーパーの惣菜コーナーに廉価のくじらフライが復活する日が待ち遠しい」と書いたが、1年経ってみて、その希望は叶っていない。
廉価どころか高価なくじらフライもない。
鮮魚売り場では生鯨が散見されるが、僕が欲しいのは買ってすぐご飯のおかずにできる惣菜のくじらフライだ。


「ヴェイパーフライ4%の快走」は続いている。
2019年7月には第三世代「ズームX ヴェイパーフライ NEXT%」が発売された。
9月のMGC、秋冬の駅伝いずれもトップチーム大半の選手が1stカラーの黄緑か2ndカラーのピンクを履いている。
1月にはアシックスが「厚底」の対抗版と言えるメタライドを発売したが、トップランナー向けではないため、エリートレースでは見かけない。
10月12日、エリウド・キプチョゲはこの靴(カスタム仕様と思われる)を履いて非公式に42.195kmで2時間を切った。


「ゼイワンで30点」だったV・ファーレン長崎は、2019年シーズンをゼイツーで戦い、12位という平凡な順位に終わった。
だが、シーズンが終わるとすぐ高田明社長の退任、長女高田春菜社長の就任、そして近々には「わくわくする選手」の獲得がリリースされる。
2019年最多の公式戦を消化したV長崎は、リーグ戦が終わった今も天皇杯ベスト4に残っており「元旦、オリスタ、決勝」を目指している。
ヴィヴィくんは5月に初めて関東で「おたんじょうび会」を開催し、長崎県人に留まらない人気を見せつけた。2020年11月に開催される「長崎平和マラソン」のイベントにも駆り出されるなど、今や長崎県を代表するマスコットとして、がんばくん・らんばちゃんの存在を脅かしている^^;)

夢のある話題に事欠かない。
今試しに書き出してみたら、2019年5大ニュースはほとんどが「V・ファーレン長崎」関連になってしまった。どれを削るか悩みどころだ。


去年5位に挙げた「AIの停滞」は会話型ロボットの停滞のことで、AIそのものは量子コンピューターという新たな計算機を得て、急激というより過激な進歩を遂げようとしている。
インターネットによる情報化社会が定着して20年。
「仕事は増えるけど、人は増えない」気ぜわしい現代だが、いずれAIによって、逆に静寂を取り戻すのでは?という予感がしている。

 

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2019年8月10日 (土)

謝罪の国に暮らして

通勤ラッシュの時間帯、たまたま座ることができた僕はスマホで小説を読んでいた。
駅が近づいて電車が軽く制動をかけた時のことだ。
前に立っていた若い女性の日傘の先端が思い切り、スマホの画面に振り下ろされた。

スマホの画面から鈍い音がした。
幸い、画面は割れずに済み、僕は顔を上げそうになったが、相手の顔を見る前に思いとどまった。

しかし、上のほうから「すみません」といった言葉は僕の耳には届かなかった。


ごめんなさい
すみません
を言わない
この時代は
いったい
なんなのだろう


都心の鉄道に限ったことなのか
東京だけに限ったことなのか
あるいは日本だけに限ったことなのか

いや、かつて日本は外国に比べると、率直にお詫びを述べる国だったと記憶している。
それは、この出来事に関連がある。


2001年2月10日(現地時間9日)
ハワイダイヤモンドヘッド沖18kmの地点(米国潜水艦 訓練海域外)で愛媛県立宇和島水産高校の実習船「えひめ丸」に米国原潜「グリーンビル」が衝突、えひめ丸が沈没した。

この事故でえひめ丸に乗っていた乗組員、実習生合わせて9人が行方不明となった。
原潜グリーンビルは事故の際、民間人2人が操舵席に座りソナー室にも民間人が入っていた。

休暇でゴルフ中だった森喜朗首相が、第一報を受けた後もプレーを続けたことが非難の的となり「30分ルール」という言葉が話題に上った。
約束事のリードタイムを言う時に「*分ルール」という言葉が定着したのもこの事件からである。


それよりも話題になったのは、ワドル艦長が事故後しばらくの間、公の場で謝罪しなかったことだ。
当時「米国は訴訟社会だ。裁判で不利になるため、彼らは非を認めない。むやみに謝罪しないという文化なのである」ということが、メディアのご意見番によって語られたが、そこは文化の違う日本人の反感を買った。

事件からおよそ一ヶ月後の3月8日 ワドル前艦長が査問会議を傍聴していた被害者の家族3人に会場で直接謝罪した。
これは、嫌米に傾いていた日本の世論に配慮したものと思われた。

米国原潜が日本船を沈めたのはこれが2例めで、1981年5月には「ジョージワシントン」が日昇丸に当て逃げして2人が死亡している。

事件から9ヵ月の11月25日、ホノルル沖20キロ 2,000mの深海にえひめ丸は沈められた。最後のお一人の遺体は発見できなかったが、ご両親は了承したうえでこの現場に立ち会った。


謝罪しないということは日本人ではないのだろうか。
電車を待つホームで並ばない。車内では大声で盛り上がる。日頃、国民性の違いを見せつけられていると、そんな考えもよぎる。

日常に起こりうる迷惑行為や過失に対して、抗議の声は無力だ。
なんの人間関係も利害関係も社会的な関係もない人の心根を変えることはできない。
たまたま、電車で居合わせただけの人に、僕らはなんの言葉も持たない。
ただただ、自らを律するしかないのである。

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2019年7月29日 (月)

ホリデードライバーに気をつけよう

久しぶりに町田君と会った。
彼とはこうして時々、会っては他愛も無い話しをする。
特になにか同じ趣味があるというわけでもないし、出身地は岩手と長崎と、日本の両端だ。


最近なんか面白い話ある?
いつも、こうして彼に口火を切らせる。
その方がコミュニケーションがうまくいく。

「お盆が近づいてきましたね」

そんな風流な人だったかな・・
お盆??それは何か理由があるの?

「もう随分、長くお盆には帰っていないなと思いまして」

そうか、帰っていないのか。いや、確か彼は去年だったかお父さんが亡くなったと言っていたぞ。

「えぇ去年、父が死んで・・」

だったら、今年は初盆じゃないの?

「そうなんですけど、お盆は里帰りした人たちが運転してるから、もらい事故とか嫌だなと思って。そういうの、なんとかっていうんですよね。なんだったかな」

そう言って彼はスマホでしらべる

「ホリデードライバーでした。長期休暇の時だけ運転する人という意味ですね」

確かにホリデードライバーは運転が下手と言われている。
これは僕もそうなのだが、帰省した故郷で親戚の車を運転する。ただ僕の場合、日頃から運転しているので、その定義には当たらない。

運転から遠ざかっており、勘が鈍っているということもあるが、元々、運転経験が浅い(運転通算距離が短い)ので、咄嗟の時の判断力が低い。
そういう人が慣れていない道、慣れていないクルマを運転するのだから、確かに危ない。


初心者や高齢者ならば「初心者マーク」や「もみじマーク」といった標章があるが「ホリデードライバーマーク」というのはないので、他の車両はそのクルマがホリデードライバーだと気づくことができない。

町田君がいう通り、盆正月の地方都市、観光地を走る時、周囲を走るクルマにそういうクルマが混じっているという想定が必要だ。それは舗道を歩く時にも言える。

ここで、僕は気づいた。
そもそも、町田君自身がホリデードライバーじゃないのか。
「もらい事故」を恐れる側というよりは、周りに恐れられる側だろう。
ということは、いきなり場の雰囲気を壊しそうなので、言わなかった。

始めの話しがいま1つ盛り上がらなかったので、他になにかない?と水を向けると、彼は「そうそう」と目を輝かせた。

「最近、MacBookAirを買ったんです。10年くらい前からずっと憧れていて。MacってUNIXなんでLinuxが使えるんです。自分はwebの人なので、そっちの環境があるといいなと思っていて。それが来週来るんです。SSD、メモリーを増設して20万・・」

10年も憧れていたマシンを手に入れた町田君。
今頃、幸せな一時を過ごしていることだろう。
その1台のマシンから、大きな夢と希望が広がることを祈る。

 

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2019年7月27日 (土)

マリちゃんの自転車 防犯カメラに映っていた意外な映像

「自転車の破損ですが、防犯カメラにしっかり映っていました。
昨日の16:00頃です。自転車が壊れているのを発見された少し前ですね。
あなたの右となりに駐輪しているかた。おじいちゃんなのですが、その方が転倒されたんです。
それであなたの自転車に向けて転倒しまして、それで自転車が・・
おじいちゃんはそのあと、1分ほど立ち上がれませんでした。買い物の荷物も散乱していて・・」

マリちゃんのイメージに、転倒して自転車に乗り上げたおじいさんと転がるリンゴの映像が浮かんだ。リンゴとは誰も言っていないんだけど。。

「大家さんが入っている保険が適用できるかも知れないので、今それがおりるかどうかを確認中です。
ただ、保険がおりるとなった場合も、ご本人が自分がやりましたと認めていただく必要はあるんですよね。
本来ならば、自転車を壊したと自分からご連絡していただければいいのですが・・・
立ち上がった後もよぼよぼとした足取りだったので、もしかすると、ご本人は自分のことで精一杯で、自転車を壊したことも認識されていないという可能性もありますね」


ひと通り、不動産屋の話しを聞いていたマリちゃんを安堵が包んでいた。
梅雨のどす黒い雲が強風で吹き払われて、一気に晴れ間を見たようなイメージだ。

念のために、こういう場合は警察に被害届けを出しておいた方がいいのかを尋ねてみる。

「被害届けを出すと、警察は防犯カメラの映像確認を求めてくるでしょうね。その場合、自転車置き場の使用者から被疑者が特定されて、逮捕ということもありますね」

被害届けを出したくらいで、TVの「相棒」で見るような本格的捜査をしてくれるのものだろうか?
名探偵マリちゃんは少し懐疑的だったが、担当者の話しを聞いて被害届けのセンは消えた。
そして、マリちゃんは滑舌の良い明るい声で、その意向を語り始める。


悪意のある人が壊したのじゃないと聞いて、心から安心しました。おじいさんが自分で申告されないことですが、私の周りでも似たような話は聞いたことがあります。きっと悪気はないと思います。そして、何より、私の自転車がクッション代わりになって、おじいさんが大けがをしなかったとしたら、よかったと思います。
保険についてはけっこうです。大家さんにはそうお伝えください。
他の住人の方については、掲示板で注意喚起したりせずに、このことは内緒にしてください。
次の週末には壊れた自転車は撤去して、新しい自転車を買ってきます。駐輪場はそのままお借りしますので、よろしくお願いします。
お忙しいなか、映像の確認をしていただいて、ありがとうございました。


おじいさんは雨続きということもあって、しばらく、買い物に出られなかったのだろうな。少しの晴れ間にちょっと多めに買い込んできてムリをしたのかな。でも頭打ったりしなくてよかった、よかった!
私が自転車を置いた日に、雨で私が乗るのを見送って、そこにおじいさんが転倒するなんて、なんて偶然なんだろう。
大事に至らなくて、おじいさん、ラッキーだったのかも。

新しい町、新しいスーパー、新しい家
なんだか、楽しくなりそう
自分の気持ち次第で、降って湧いた災難ですら 味方にもできるんだな
さぁ、牛肉と茄子の夏カレー、いっぱい食べるぞー
ゆで卵も作らなきゃ

おわり

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2019年7月26日 (金)

マリちゃんの自転車 人が人間関係で悩めない時とは

マリちゃんは考えた
「生命の危機に瀕している時に、人は人間関係で悩めない」

相対的な恐怖がある場合、人は恐れるに値しないことを明確にそう判断できる。
だとすれば、平穏な日々を過ごしている時、相対的な恐怖が存在していない時に「たった1つの恐怖」が発生した時はどうすればいいか?
その時は、名探偵コナンで鍛えたイメージ力を使い、過去に訪れたいくつかの恐怖、あるいは未到来の恐怖を思い描きリアリティを感じることで、相対的に目の前の「たった1つの恐怖」が実は恐れるに値しないと切り捨てることができるのではないか。

そう考えていくと「自転車の恐怖」も「同僚の恐怖」も、どれも恐るるに足らぬものと思えてきて、気持ちが軽くなっていくマリちゃんだった。

今日はスーパーでお肉とルウを買って「週末家ごもり用のカレー」でも仕込もうかな・・・

その日も早めに仕事を終え、タイムカードを押した。
会社近くのTSUTAYAで「準新作になったら借りようリスト」に入れておいた映画を2本借りて、電車に乗る。

いくぶん心の平穏を取り戻すと、今度は別のことが気になり始めた。
防犯カメラで「犯人」がわかったとして、それからどうする?というアイデアが自分にはないことに気づいたのだ。
不動産屋への連絡もすべきではなかったか・・
いや、それを言ってももう遅い。
とりあえず今は、防犯カメラ映像を確認した不動産屋からの連絡を待つしかない。

数時間後、マリちゃんは台所に立ち、悩みがある時に必ず食べることにしている牛肉と、思いのほか安かった茄子を煮立てていた。
TVのニュースで「長梅雨で野菜が高騰しているなか、今年は茄子が安くて美味しい」と言っていた。
がっつりの牛肉とさっぱりの茄子でつくる夏カレー

「言うことなす!」
昔、理研のCMでみた突っ込みを入れ、さぁそろそろルウを投入するかなと思っていた時、マリちゃんのスマホが鳴った。


一旦、火を弱くして「応答」をスワイプ
電話の相手は不動産屋の担当者だった。
まるで、隣りで話しているようなクリアな声に一瞬どきりとするくらい、彼のスマホの音質はく、現代科学はここまで進んでいるのかと一瞬、イメージの世界に遊びに行きそうになったが、気を取り直して通話に集中する。

「自転車の件のご報告です」
不動産屋の担当者は静かによどみなく話し始める。
深刻な事態を告げる時の沈痛さはない。
そして、彼が映像で見たものは、マリちゃんのイメージ力を持ってしても、想定を超えていた。

つづく

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2019年7月25日 (木)

マリちゃんの自転車 トラブルに気持ちが塞がない訳

自転車を壊せば「器物損壊」
それは刑事罰であり、被疑者と断定されれば逮捕されることもある。
そうなった場合、学生であれば「就活に響く」ということは容易にわかるし、社会人であれば査定に響くだけでなく、その後の人事に暗雲が垂れ込める。もちろん会社にばれた場合だが。

それに、私が民事訴訟を起こせば、自転車の弁償、慰謝料の支払いといった費用も発生する。
いずれにせよ「むしゃくしゃした」程度の気持ちで行うにはあまりに代償が大きい。
大の大人がやることとは思えない・・


マリちゃんは、ここでイメージの世界から一旦離れて、現実路線に立ち戻る。
できれば、穏便に済ませたい。
それを第一義に考えよう。

自転車は廃棄するしかない。
買ってから7~8年が過ぎ、かなりくたびれており、何らかの保険が下りたとしても「評価額は千円です」とか言われそうな代物だ。
今回は勉強代を払ったと受け止め、これをいい機会と捉えて、憧れの電動自転車でも買うか。

被疑者が特定されて一定の補償が得られたとしても、近隣住民との間にしこりは残る。
もしも、問題がこじれるようなことになり怨恨が生まれるようならば、報復に怯えなければならない。そんなことでは、ここに長くはいられなくなる。
せっかく、気に入って移り住んだばかりのこの町をすぐに出て行くのは回避したい。


一生のうちに「自転車を盗まれる」という経験をする人は多いが「壊された自転車が目の前に残っている」という経験をする人は少ない。
従って、こういう時、警察に被害届けを出していいものか、出すべきなのか、それずらもわからない。
ただ、何もしないでスルーというのも気味が悪い。


その晩、マリちゃんは不動産屋に一通のメールを送り、できるだけ穏便に済ませたいことと、客観的な状況だけを伝えた。
不動産屋からはその日遅く、返信が届いていた。

「明日、防犯カメラの映像を確認して、またご連絡します」


翌日、会社でもちょっとしたトラブルがあった。
マリちゃんが提出したはずの報告書が先方の部署に届いておらず、先方から「怠慢ではないか」と上司に抗議が入り、仄聞した同僚からは「仕事の品質が低すぎる」という非難の声が上がったのだ。
一体何が起きているのかわからなかった。
ただ、不安の雪が屋根まで積もるといった追い詰められた感情もない。
いつもなら憂鬱なこともサンバのリズムにきこえる・・
悠長な状況ではないにも関わらず、マリちゃんの気持ちは不思議と重たくはならなかった。


どうしてだろう?
いつもならば、言われなき非難には心を痛めるし、気持ちが塞ぐというのに。
そして、すぐに名探偵マリちゃんは気づく。
あ、そうか。
得たいの知れない相手に自転車を壊されたという恐怖感が、相対的に「その他の恐怖」を押しのけているのだ。
さらに分析する。
待てよ?だとすれば、恐怖も場合によってはウェルカムということか。

つづく

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2019年7月21日 (日)

マリちゃんの自転車 白昼、防犯カメラの前で行われた犯行

新しいアパートに引っ越してきた翌日、マリちゃんの自転車は無残に歪んでいた。

後輪のセンタースタンドで自立している自転車は、本来ならば地面と垂直の角度を成しているはずだが、今目の前にある彼女の自転車は左側に傾いでいる。
あえて角度で表現するならば、20度、いや25度くらいか。
しかし、前輪は輪留めにしっかりはまっている。

いったい、どうなっているの?

とりあえず、一回冷静になろう。
こんなところで立ち止まっているところを誰かに見られたら、状況を説明しなくてはならなくなる。
ひとまず部屋に上がり、野菜や生鮮品を冷蔵庫に仕舞う。
戸締まりを確認して、もう1度自転車置き場に戻る。

自転車は前輪が「紅茶で用済みになったレモン」のように、不規則に歪んでいた。
朝から降り続いた雨で、車体の全体が濡れそぼっている。
右隣りには真新しい自転車。サドルが濡れていないところをみると、帰ってきたばかりか・・
マリちゃんはコナン君のファンで、つい、現状を分析してしまうのだった。
左隣りは空いている。
確か、昨日停めた時には、左隣りにも自転車が停まっていた。
マリちゃんは、そこに恐怖を感じないわけにはいかなかった。
左の人が怪しいな・・


アパートには駐輪場のルールがあった。
希望者は事前に使用を申告する。
大家さんから不動産屋経由で指定される番号の場所に停める。
駐輪した時に視認できる位置、すなわち、自転車の後輪泥よけには交付されたステッカーを貼らなければならない。

ところが、手違いがあり、そのステッカーがまだ届いていなかったのだ。不動産屋で部屋の鍵を受け取る際「**番に停めてください。ステッカーは大家さんから届き次第、ポストに投函しておきます」と言われていた。


決して膨らませたいわけではないが、マリちゃんの脳内イメージは否が応でも膨らみを見せる。

「あれ?この見慣れない自転車だな。ステッカーも貼ってないし。そういえば、最近は盗んだ自転車をこうして自転車置き場に乗り捨てて行くヤツがいると聞いたぞ。あるいは、住人のところに遊びに来たヤツが勝手に停めているのか。いずれにせよルール違反だ。こうしてやる!えい!」

そんな軽い気持ちで蹴飛ばしてみたところ、自転車はぐにゃりと曲がってしまった。

「やべ、曲がっちゃったよ。まぁでも無断だったらいいか。ステッカーだって貼ってないし」

あぁ、大家さんがステッカーをきちんと手配してくれていたら・・
そこまでイメージを膨らませた名探偵マリちゃん、しかし、腑に落ちない点があった。

果たして、大の大人が防犯カメラがあるとわかってる場所で、自転車を壊したりするものだろうか?
住民ならば、誰もがこの場所は24時間、防犯カメラで撮影されていることがわかっている。
「映像は遠隔地のサーバーに保管されており、何らかの事案が発生した際には、過去の映像を閲覧することができる」
マリちゃんも下見に着た時に、そう説明を受けた。

だとしたら、外部犯行か?
しかし、外部から来た者が、ピンポイントで昨日置いたばかりの私の自転車だけを壊して逃げるというのは、常識的な捜査セオリーから外れている。
ここは内部犯行を疑うのが本筋だろう。

つづく

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2019年7月20日 (土)

マリちゃんの自転車 駐輪場で歪んでいた自転車

マリちゃんは最近、職場の近くのアパートに引っ越したらしい。
それまでは残業してから電車に乗って帰ると、駅前のスーパーが既に閉まっていて、割高なコンビニで買い物をしなければならない。それが、料理好きな彼女にとっては不満だったらしい。
野菜をあれこれと手に取って品定めして、より新鮮なものを安く買うというのが楽しみだからだ。


そして、事件は引っ越した翌日に起きた。
関東は記録的な長梅雨となり、七月も半ばというのに、その日は朝から地面をたたきつけるような雨。

あぁこれじゃ野菜の値段あがっちゃうな
そう思いつつ、雨の中傘をさして走るのは危険だと思い、自転車で駅まで行くのは見送った。

その雨も午後には小降りになってきた。
よし、今日は新しい最寄り駅で、目を付けていたスーパーで初の買い物だ。
移り住んだ町は、閑静な住宅街。
TSUTAYAはないしスタバもないが、近くには公園が多い。
「肩肘張らずに暮らせる町」というのは、自分の中ではポイントが高い。

あのスーパー、野菜の品揃えはどうなんだろう?値段はどうかな、もしかしたら、この雨続きで市場価格全体が高くなっていて、参考にならないかな・・

そんなことを思っていると、いつもならば憂鬱な雨もサンバのリズムに聞こえるマリちゃんだった。

17時を回ると「今日は早いね?」と同僚に茶化されながら、家路についた。現代社会ではそこで「今日はデート?」といったツッコミは入らない。
50代のベテラン社員たちは「言いたいことが何も言えない時代になった」と嘆いているが、そんなこと、そもそも言っていたのかとこっちが嘆きたい。

駅前のスーパーは、高齢者の姿が目に付いた。
「この駅、こんなに年齢層高いのかな?」
そう思ったが、それは早とちりだと後にわかることになる。

引っ越したばかりで冷蔵庫が空っぽなので、ついつい多めに野菜と生鮮品を買った。レジでお金を払った後で、その日は自転車がなく、この荷物をぶら下げて歩かなければならないことを思い出し、少し後悔した。
それでも、新しい町、新しいスーパー、これから帰る新居を思うと悪い気はしない。時々、マイバッグを右手、左手と持ち帰りながら、こんな散歩ならば、雨の日もいいな・・
そんな、幸せな気分は、直後に暗転する。

アパートの入口には「カメラ作動中」の札。
門扉を開けると、その先から監視カメラがこちらを見据えている。カメラは防犯の抑止力になる。悪い人もカメラがある場所では襟を正す。防犯カメラ完備というのが、この物件の決め手だった。

自転車置き場の中に自分の自転車を探す。
サドルが濡れているかな?
そう思った時、視界に歪んだ光景が飛び込んできた。
目の錯覚、もしかして私、疲れてる?
そうではないということは、すぐにわかった。

歪んでいるのは自転車そのものだった。

つづく

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2019年6月26日 (水)

秘書が欲しい

ちょっと暑くなってきたな
というワケではありませんが
秘書が欲しいというお話です。

ことの発端は、最寄りの図書館からの帰り道、玄関を出て強い風の中、並木道を歩いていた時のこと
「風強っ!この後、雨が降るなんてとても思えないな」
と独り言をいったわけです。

あぁこういうのをケータイ持っていたら、tweet するんだろうな
でもケータイのない暮らしは5ヶ月めにはいり
この身軽さは手放せない。

・・ここで注釈を入れますと、このお話は今から7年前、僕が1年間に渡って「携帯」を持たなかった時に書いています。
つづきです

誰かが代わりに携帯料金を払ってくれて、
毎日、充電もしてくれて
それから、代わりに持ってくれて^^;)

そうした条件が揃い、それでもって、ちょっとつぶやきたいなって時に(代わりに持ってくれている)その誰かに向かって
ねぇ、ちょっとスマホ出して
と声をかけて渡してもらい、つぶやく。
終わったら、はい って返す。

こうなると秘書が欲しいな。
でも、秘書といっても誰でもいいってわけじゃない。
立派な本職を頼めば高そうだし、安い時給で来てくれるそこらの暇そうな人では、約束通りに来てくれない気がする。
堀北真希では緊張するし
かといって渡辺謙まで渋いと気後れする。

そこそこに話せて、礼儀正しい40代男性が希望だ。
そういう個人秘書を派遣してくれる業者はないのだろうか?
しらべてみます

その時の話しはここで終わっています。
しらべた結果は覚えていません

あれから7年の歳月が過ぎ、今は再び「携帯」を持ち、それはいつしか「スマホ」に替わり、家にいる時は「アレクサ」がいる。
今、読み返して想うのは、「携帯」がある、なしでは考えることがずいぶん違うこと。いつも、当たり前にあるものがない時にしか、あんなことは思いつかない。
便利さに囲まれた今、あんな拍子抜けなことは思いつけない。

人は異なる環境の元では、いろいろな人に変われると言うことだろう。人が変わるにはスイッチが必要だが、当たり前、あるいは「ムリムリ」と想っていたことをやってみるのもその1つなのである。

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2019年5月31日 (金)

しらべる7,000日 しらべるが行く5,000日

2000年4月に始めた「しらべる」は今日で7,000日を迎えました。
毎日更新(新規記事を追加)しているので、連続更新も7,000日となりました。
今読んでいただいているこのブログ「しらべるが行く」は、しらべるを始めてからちょうど2,000日後に始めたので、こちらは5,000日連載です。


これだけ長い間、毎日続けるということは、一般的には珍しいと思います。
「よく続くなぁ」と思われる方もおられると思います。

ただ、僕自身はそれほど特異なことをしているという感覚ではありません。
「毎日何かを続けること」や「1度始めたことは止めないこと」は子どもの頃から自然に身に付いた習慣でもあるからです。

この習慣の始まりは小学校に上がる前、母から日記帳を渡されたことでした。
その時「その日の出来事を書きなさい」と言われたのか「毎日続けなさい」と言われたのかは覚えていません。
母は浄土に還ったので、もはや、それを尋ねることもできませんが、尋ねたとしても覚えていなかったと思います。


「用語集」と「ブログ」をこうして、皆さんに公開しているわけですが、それ以外にも習慣として毎日続けていることはいくつかあります。
その1つが「ABC」です。


ABCというと物流の「ABC分析」を思い浮かべる方がいるかも知れませんが、私が続けているのは「Activity Based Costing」
行動を時間で定量化して、それ(コスト)が時間を使うことで生み出される価値に見合っているかを分析する手法です。


ABCに出会った1999年から続けていますので、ちょうど20周年を過ぎたところです。
これは、几帳面が取り柄の僕にはピタリとはまりました。
この「ABC」を20年やって来て、何がいいかというと「計画を楽しめるようになった」こと「時間は未来から過去へ流れている」ことを実感できるようになったこと、思考と行動のスピードが格段に上がったことです。


「しらべる」と「しらべるが行く」を毎日1つずつ書き起こし、毎年500冊以上の本を読み、いろいろな趣味を続け、1日7時間以上の睡眠を確保する(他にサラリーマンもしています)
これは他人よりも可処分時間が多くないとできない。それができているのは「ABC」のお陰だと思います。


20年間で学んで来たことは、まだ体系的にまとめていないのですが、時間ができたら他人に伝わるようにまとめて、対面で教えてみたいと思っています。


「しらべるのABC講座」ご期待ください。
これからも「しらべる」と「しらべるが行く」を時々思い出して、読みに来てくださいね。

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