2017年3月14日 (火)

スマホの個室トイレさぼりを管理する空きトイレ通知システム

「大丈夫ですか?」
ドアの向こうから声がかかる。
それは総務部長のサカタの声だった。
彼が続ける
「ずいぶん長い時間おられるので心配になって見に来ました」

ここで黙っているのは得策ではない。
自分は逃げ場のない個室に居るのだ。
黙秘を続ければ、やましいことを自ら認めてしまうことになるし、本当に急病と勘違いされてドアの上に空いた隙間から、こちらを覗われるかも知れない。

あぁ大丈夫です。ちょっとお腹が痛くて、すみません
少し鼻にかかった声で応える。
できれば、正体を特定されずにこの場をやり過ごしたいという猿知恵だったが、それはすぐに浅はかなことだとわかる。

「タベイさんですか?大丈夫ならいいんです。あとで私の所に寄ってください」
サカタはかつて、部下としてタベイさんに仕えていた10歳年下の後輩だが、今や立場は逆転している。
それにしても、なぜ総務部長が来るんだ?



後にタベイさんが知ることになるそのカラクリはこうだ。
会社は数日前に「空きトイレ通知システム」を導入していた。
ドアに取り付けられていた銀色の物体が、そのセンサー。
ワイヤレス機器なので、配線は不要である。

「空きトイレ通知システム」とは、トイレとネットをIoTでつなぎ、トイレの空き情報が確認できるシステム。

IoTは「モノをインターネットにつなぐこと」
モノから収集したビッグデータを、モノ、サービスづくりに役立てるのが目的だ。
2014年8月時点で、IDC Japanは2018年に21兆円市場になるという見通しを発表していた。

当初は鉄道、自動車、社会基盤からビッグデータを得ることが主概念だったが、今や家電、そしてトイレのドアといった身近なモノをITで管理する概念になりつつある。
お出かけ先からエアコンのスイッチを入れたりする遠隔操作の宣伝文句に「IoT」が濫用されている始末だ。


空きトイレ通知システムは、富士通、伊藤忠商事などが提供を始めている。
本来は、忙しいビジネスマンがデスクのパソコンやスマホからトイレの空き状況を確認できるためのもの。
ただ、それだけではない。
個室に誰かが長時間滞在すると、管理者にメールを飛ばす機能もある。
つまり、誰かがトイレの個室で長時間休憩すると、管理者に連絡が行くシステムということになる。


内勤サラリーマンの3大さぼり要因は「ネット」「ゲーム」「たばこ」
パソコンはログ管理される時代になり、たばこは分煙による入退室管理が導入された。
すると新たな抜け道として「スマホ」による「トイレ個室」さぼりが生まれた。

どんな時代も真面目が最強ということは揺るがない。

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2017年3月12日 (日)

うんこは家でしてこい!

トイレのドアにはバネが仕込まれていて、空室の場合、個室の内側に向けて開かれている。
ドアが閉まっている場合、そこが「使用中」であることが一目瞭然だ。
昔のように、コンコンとノックして「入っていますか?」と聞くことはない。


5つある個室の4つはドアが閉まっている。
タベイさんは、足早に残り1室を確保した。
時には5つとも塞がっていることもある。
切羽詰まって、駆け込んだトイレがすべて塞がっていると、誰もが途方に暮れる。
それでも他の階へ行けばなんとかなるが、多忙な人にとっては時間が惜しい。

トイレが満室になるのは、朝一番やお昼過ぎといった人々の排便が集中する時間とは限らない。
この日も15時を回っているというのに、80%の稼働率だ。

かつてタベイさんは、朝礼が終わると競ってトイレに駆け込む若手に向かって「うんこは家でしてこい!」と活を入れたこともあった。
それは「あと10分早く起きて、ゆとりを持って1日を始める習慣を身につけろ」という意味を込めた助言だったが、その真意を汲んだ若者は皆無だった。

それが今や、トイレはタベイさんの安住の地となっている。


タベイさんはズボンを下ろして便座に腰掛けるや、スマホを取り出してゲームアプリをタップ。
お昼休みの続きに取りかかる。


ぷ~~
右となりの個室から放屁の音。
下品だな・・彼は苦虫をかみつぶすが、ここは本来、そういう場所であって、スマホを操作する場所ではない。

数分後、左となりの個室から水が流れる音がして、ドアが開く音がした。
みんな、こんな時間に本当にうんこしてるのか・・
そう独りごちるタベイさんはといえば、静かなもの。
ただ、トイレを出る時には、トイレットペーパーをカラカラと大きな音を立てて引き出し、ダミーで水を流す。
排便目的でここに居たように装うためだ。


15:20
彼のゲームは佳境に入っていた。
いつもならば、15分程度で職場に戻る。
そろそろ切り上げ時だが、いいところだからあと少し・・
そう思った時だ。

こつこつ
それはドアが反響しないよう、触れる程度のノックだ。

タベイさんは、口から心臓が飛び出しそうになる。
昔のトイレとは違い、空室を確かめるためにノックする人はいない。
そのノックは「入っていますか?」という疑問符によるものではない。
彼が経験したことのない、全く新しい事態が起きていることを瞬時に察した。


どうしたらいい?
タベイさんは、ここ数年経験のない速さで頭を回転させ「沈黙を守る」という結論を出した。
相手の出方を待った方がいい。
ヘタに声を出せば、ここに居るのがタベイだとわかってしまう。


わずか数センチのドアの向こうから、次なるアクションはない。
気配で察するに、相手は1人のようだ。
時間が過ぎる。
相手もだんまり作戦なのか?
しかし、このままでは職場に戻れない。

膠着した時間は、実際には5秒~10秒程度だったのだろうが、タベイさんにはその10倍にも感じられた。

こんっこんっ

今度はドアの板が反響した。いよいよ相手が意を決したのだ。

3月14日につづく

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2017年3月11日 (土)

スマホゲームをするために個室トイレに通うおじさん

タベイさんは定年間近のサラリーマン。
その会社での余生を閑職で過ごしている。
昔でいうならば「窓際族」だ。
だが、時は流れ今や陽の当たる窓際に閑職者を置く企業はない。
そこは、まさに日の当たる人材、役職者の場所。
彼の居場所はというと、日当たりの悪い部屋の隅っこ。


かつて、彼はその場所がお気に入りだった。
ゲームをして遊んでいても、周りにばれないからだ。
昔は現場の第一線で指揮を執り、意気揚々としていた彼だが、今や9時から5時までが埋まるだけの仕事がない。

要するに、暇で暇でしかたない。
たばこ休憩をとり、雑談を多めにして、ゆっくり仕事を進める。
それでも3時頃には、まったくすることがなくなってしまう。

そこで彼はWindowsパソコンにプレインストールされているゲームを立ち上げる。
トランプのカードをめくるだけのごくシンプルなものだが、幼少から大人になるまでコンピューターやスマホのない時代に育った彼にとっては、それでも十分にハイテクなギミックに映る。


古き良き時代ならば、彼の安住は打ち破られなかった。
ところが時代は新しく悪しき時代に変わった。
効率が極限まで追い求められ、非効率なものは「見える化」という気味悪い言葉で、白日の下にさらされる。

可視化と言えばいいものを、わざわざ「見える」という幼稚な言葉で表現することで、その強圧を包み隠している。タベイさんは鼻持ちならないと感じていた。


勤務時間中のコンピューターの挙動はすべて、監視システムで一元管理され、やがてタベイさんのコンピューターでは就業中の30%以上が、ゲームに充てられていることが「見える化」された。


その日以来、彼は主戦場をパソコンからスマホへと移した。
元々、ガラケーしか持っていなかったのだが「オレもそろそろ始めようかな」と告げたところ、アナログな亭主の珍しい申し出に、タベイさんの奥さんは即座に賛同したという。


公用のスマホはMDMという技術で、その挙動がすべて会社から監視されている。
だが私用スマホならば、その限りではない。

いつものように、今日も暇になり、彼はスマホをポケットに偲ばせ、いつもの場所に向かった。
その行く先は個室トイレだ。

いくら私用スマホが監視されていないとはいえ、デスクでゲームをやっていれば、再び咎められることは火を見るよりも明らか。
トイレの個室に逃げ込めば、さすがに監視カメラはない。

15:00
5つあるトイレの個室は4つが塞がっている。
タベイさんは誰かにとられてはならじと、慌てて部屋にカラダを滑り込ませて、ドアをロックした。

ドアには数日前から銀色の物体が取り付けられていた。

つづく

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2016年3月21日 (月)

3分でわかる「ビッグデータ」

ビッグデータという言葉が、ずいぶん前からいる居候みたいな顔をして、社会に根付いています。
本物の居候ならば、主の意に反した行動は控えるくらいのデリカシーを備えています。
しかし、こちらの居候は、主がネット絡みでおこなうこと全てを、よそで言いふらして回る厄介なものです。

今日はこの言葉について、検証します。

しらべるでは「ビッグデータ」をこう定義しています。
「位置、購買、閲覧などの膨大な情報」


企業はビッグデータを販促に活かしています。
勝手に収集してはいけませんが、あなたが承諾していれば、反則ではありません。



位置情報はGPSを搭載しているスマホ、パソコンなどで収集されます。
位置情報をどこかに送るアプリは、はじめに「位置情報を提供しますか?」と聞いてきます。
「はい」「いいえ」で選ぶならばわかりやすいですが「設定」「OK」の選択肢だったりして、分かりづらいです。

日本政府は「プレファランス(承諾)に置ける選択肢のガイドライン」を提示していませんので、分かりづらくし放題です。

撮影した写真をtwitterなどのSNSに上げる時は注意が必要です。
鎌倉の大仏を撮影してアップ。
そこに位置情報が付いていても問題ありません。
誰もが場所を知っているからです。

しかし「期間限定スイーツ」をコンビニで買ってきて自宅で写真を撮ってアップしているあなた。
注意が必要です。
どのような設定をしていようが、自宅で撮った写真をSNSに上げるのは慎重を期すところです。



購買情報はネットでモノとサービスを購入したデータ。
購入時に「同意しますか?」と言われ、面倒くさいので(というより同意しないと買わせてもらえないので)同意した覚え書きに、その承諾が含まれていることがあります。

ネットでモノを買った。音楽をダウンロードした。
それだけなのに、直後から定期的にメルマガが届くようになった。
そんな経験はないでしょうか。
その場合、覚え書きに承諾が含まれていたのです。



閲覧情報は、ブラウザーで閲覧したページ。
それぞれのWebページには、そのウェブサイトが提示する「プライバシーポリシー」のリンクがあります。
(ないWebページも多いです)
そのポリシーを読むと、閲覧情報の利用条件が謳われています。
利用を許諾しない場合、そこに説明されている方法で拒否する必要があります。

ついさっきショッピングサイトで「ノートパソコン」を探した。
すると、直後から他のウェブサイトでも「ノートパソコン」の広告だらけになる。
といった経験はないでしょうか。
その場合、プライバシーポリシーにそのことが書かれています。

ビッグデータにより、わかることは「興味と関心」だけではありません。
その他の様々なデータと紐づけて「学歴」「収入」「年齢」「性別」なども、個人を特定しないデータとして取り扱われています。


このような基礎知識をおさえたうえで、インターネットを慎重に使う分には不利益を被ることはありません。

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2014年11月25日 (火)

siriの進化 ニフティの会話君

シリが進化したと言っている。
iPhoneを使っていない人は、尻?
と思うかも知れないが、シリ(siri)はiPhoneに搭載されている音声認識の名前。
米国の人が下品な言葉として「あすほーる」という言葉を忌むように、日本人としては、この名前が常用する仕組みに命名されていることへの違和感が消えない。

こんどのシリスゴイね!

などと、往来で言おうものなら、眉をひそめられること必至だ。

iOS8では、シリが進化した。
ずいぶんと認識精度があがり、かなりの長文を一気に喋っても、しっかり正確に着いてくる。

そのシリが会話形式で相談にのってくれるという。
かつて、パソコン通信当時のニフティに「会話君」という仮想会話サービスがあった。
今は「会話がどんどんつづく君」というサービスがあるが、話題に困らないためのネタ集であり「会話君」とはまったく違う。

キーボード入力して話しかけると「会話君」がデータベースの中から、より意向に沿った文章を返してくれた。
その素っ頓狂な返事に笑った。
「会話君」がこんな答えをした。
ということを、僕らパソコン通信仲間はネタにして笑った。
それほど、仮想の仕組みが珍しかったのだ。

さて、シリの出來はどうか。
約束に則って、合い言葉で声をかける。

ヘイシリ!
「ハロー、motoさん」
(100点^^;)

最近、人生について考えるんだ。
「木崎人生についてのweb検索結果がみつかりました」
(0点)

最近、人生について考えるんだ。(再)
「よくわかりません」
(0点)

最近、人生について考えるんだ。(再さらにゆっくり)
「よくわかりません」
(0点)

人生については、自分で本を読むしかない。
つづいて、設問のハードルを下げる。

僕の悩みを聞いてくれる?
「私は質問に答える方がすきです」
(0点)

うまいこと、はぐらかされた。
女性接客のお店で、メールアドレス教えてと言ったら
「私からメールするからあなたのを教えて」
と言われて、またそれか・・
と思った時のようなものだ。

どんな質問をすればいいの?
この返事は女性の声ではなく、画面表示

以下のように指示できます:
(アプリアイコンが並んでいて"康則君に電話"といった例文が添えられている。)
(50点)

晩ご飯なにたべようかな?
「お店がたくさん見つかりました・・」
近隣の飲食店が表示される。
(50点)

そういうサービスではないと分かっていたが
やはり、話し相手になってもらうことはできなかった。

ドラえもんロボットが発売されるのが待ち遠しい。
発売目標だった2010年は、もう過ぎているぞ。

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2010年12月 4日 (土)

1900話 個人向けポータル

EIP【 いーあいぴー 】
Enterprise Information Portal 企業情報ポータル

EIPとはメール、各種申請、スケジュール管理、社内情報の検索など、仕事に必要な情報を1画面で見ることができる仕組み。

ワークフロー、グループウェア、一般のインターネット情報などから、個人別に使う情報だけを、その人専用の”ホームページ”として表示させることを言う。

一般向けのサービスでいうと「iGoogle」の初期画面が EIPに近い。
(最近は iGoogle のようなサービスをクラウドと呼ぶ人が多い)

EIPは一般社員、管理者、経営者ごとに見られる情報レベルが設定できる。
管理者だけには部下の人事・スキル情報、稟議書の電子決済、経営者だけには部門ごとや全社の経理情報などを見られるようにする。

情報の入り口のことを「ポータル」という。
YAHOO!やGoogleなど、人気のあるポータルは「ポータルサイト」と呼ぶ。
その言葉を使って言い換えるとEIPは「個人向けポータル」となる。

さてこの「個人向けポータル」
使いやすいかというと、そうでもない。

まず、勘違いしている会社はこのEIPを認証画面の内側に置いてしまう。
ブラウザーを立ち上げると、いきなり出てくるのは
「あなたの情報ポータルへようこそ!」
というIDとパスワードを入れるログオン画面。
これは、ナンセンス。
ブラウザーを開いた瞬間から、1クリックで情報にたどり着けるのが「ポータル」であり、ホームページとして相応しい。

*念のため書きますが、ホームページとはブラウザーを立ち上げた時の初期画面のことです。

また、グループウェアがEIPだと勘違いしている技術者もいる。
だが、それはまちがい。
グループウェアはEIPの一構成要素に過ぎない。
グループウェアの初期画面も多少、ユーザーがいじれるので、EIPと混同しているだけだ。

EIPツールと銘打って売られているベンダーのツールが使いやすいかというと、それも怪しい。
自分専用に画面をカスタマイズできるようになってはいるが、それには限りがある。
ユーザーが日々の業務で使う情報は千差万別なのに、それが「ちょいと取捨選択できて並べ替えられるだけの1パターン」で片付くわけがない。

ゆえにEIPは売れていない。
だいたい、なんでわざわざEIPで今日は書いているのか?と思っている人もいるだろう。

自分が必要な情報は日々、入れ替わっていく。
仕事が替わり、立場が変わり、取り扱い商品が生まれては消え、社会も少し変わる。

"自分が最近、必要な情報だけ"
それを表示する「個人向けポータル」が必要だ。
ツールは売っていない。
ないものは、自分で作るしかない。

簡単なHTMLのウェブページをつくり、それを任意のイントラネット上に置く。
イントラネットでアップロード場所がもらえない会社ならば、ファイルの置き場所は自分のパソコンの C:¥ ** でもいい。
パソコンに挿すことができる会社ならば、USBメモリーの E:¥ *** に置いても良い。
そのHTMLファイルをブラウザーのホームページに設定する。

こうして自作した「個人向けポータル」を10年前から使っている。

http://で始まる社内外のウェブページ
¥¥ で始まるサーバーの共有フォルダー
自分のパソコンの任意のフォルダー、ファイル

日々、使う情報はありとあらゆるところに散らばっている。
毎日使うデータもあれば、1年に1回のデータもある。
それを瞬時に引き出せる。
この便利さは筆舌に尽くしがたい。

毎日1話「しらべるが行く」は今日で連載を初めて1900話、1900日め。
いつも、読んでいただきありがとうございます。
これからも時々読みに来てください。

しらべるが行く!

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2010年4月19日 (月)

死語にならなかった、ミッションクリティカル

ミッションクリティカル 【 mission critical 】
「信用でき、消失すると甚大な影響がある」という意味をもつ言葉。

1998年から「重要かつ膨大」という意味でIT業界人の間で使われ始めた。
2001年には IT業界人、IT担当者の間で 常用IT語として定着していた。

業界人の中でも、ERPを売り込みたいベンダーの社員がよく使った。
ERPの目的の一つが、重要かつ膨大な情報の一元管理とその更新。
だが、ERPを入れる企業はまだ少なかった。

当時はまだ「コンプライアンス」という言葉も登場していない。
猫も杓子も「コンプライアンス」を口にし始めたのは、
2006年に「日本版SOX法」が国会で成立した頃からのこと。

法律による「外圧」がないならば、できるだけ、厄介で大がかりな投資は避けたい。
2000年、ERPを売りたいベンダー社員は苦労していた。

人に何かを考えさせるには、キーワードが必要だ。

後で言うならば
「個人情報保護」
「IR」
「コンプライアンス」
「環境」

これらの言葉は、経営者にお金を出させる時の後ろ盾、錦の御旗となる。
そこで、持ち出した言葉が「ミッションクリティカル」

企業のなかで、重要な情報が個人のパソコンに
あたかも 離れ小島のように点在している。
これらを統合すれば、強い経営ができますよ。
逆に統合しなければ、消失した時、どえらい損害になりますよ。

そんなことを、たらたらと言ってもインパクトが弱い。
そこで、ミッションクリティカル!

米国のラジオドラマのタイトルにありそうな、なんとも攻撃的でスリリングな言葉ではないか。

だが、2007年にふと気づいてしらべてみたところ、ほとんど使われていなかった。
新たにこの言葉を使い始める人はいない。
かつて、2000年当時に使っていた人が思い出したように使うだけ。
取って代わる同様の意味を指す言葉が生まれていないので、辛うじて死語になるのを逃れていた。

日本企業にITを売りたい人たちによって、外圧となる法律や言葉が多く登場して、もうミッションクリティカルと言わなくてよくなったのだ。

死語になるには惜しい。
いつもそう考えていたら、拾う神有り。
2010年4月末、日本HPが「ミッションクリティカル・システム最新戦略発表会」を開催する。

以下はそのリリース記事より
(以下、引用)
今や、ミッションクリティカル・システムに求められるものは、信頼性だけではありません。
更なる拡張性、管理性、仮想化、そして環境への配慮といった新たな要件を満たす、
柔軟で強靭なインフラストラクチャーであることが求められています。
(引用終わり)

これでは、なにを言っているのか、わかる人はとても少ないだろう。

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2009年12月18日 (金)

ポータルをポータブルと言い間違う人たち

 「ポータルサイト」の定義
 利用者が非常に多く、インターネットの入口になっているウェブサイト。

 ヤフー、google などのサーチエンジン、mixi、マイクロソフト社のウェブサイトなどがポータルサイトの代表例である。

 この言葉は、1999年から広く使われるようになった。
 2009年の今、ポータルと省略して言うことが多い。

 英単語 potal の意味は、堂々とした入り口、正面玄関
 米国では、ポータルのことを ナビゲーション・ハブとも言う。

 ウェブサイト開設者は自分のサイトがポータルサイトとなると、
■ 事業が大きく展開できる。
■ 広告収入が入る。
 といったメリットがある。

 ネット上は 「こんなことができて、タダなの?」
というサービスにあふれている。
 タダで提供して、儲かるの?と心配になる。

 そのような業者の収入源は 「関連有料サービスの販売」 「広告収入+アフィリエイト収入」
 集まった人の中から一定比率の人たちが消費行動を起こす。
 たくさんの人が集まれば、それだけ収入が増える。
 ゆえに、タダなのである。

 2000年代初頭には、ウェブサイトの立ち上げに際して「ポータルサイトを立ち上げた」と発表する企業があった。
 その表現では「大スターがデビューする」と言っているに等しい。
 こういう場合は 「ポータルサイトを目指して、情報サイトを立ち上げた」と言うのが正しい。

 2000年代後半にはいり、企業内ポータルという概念が生まれた。

 企業内ポータルの定義
 企業内コンピューター・システムにおいて、シングルサインオンでログオンする基幹サービスの集合体。

 シングルサインオン SSO = single sign on
 コンピューター・ネットワーク上で、一度認証を受けるだけで、許可されている複数のサービスが利用できるようにするしくみ。

 ユーザーは2つ以上のパスワードを記憶できない。
 また、サービス毎に ID、パスワードを入れるのは 面倒くさいので SSOが登場した。
 シングルサインオンを取り入れていない企業のコンピューター・システムでは、サービスごとにID、パスワードを入れなければならない。

 2004年頃までは、企業内システムに認証をかけておくと 「ID、パスワードを入れるのが面倒くさいよ」 だから、使わないんだと言い逃れの方便にする人が多かった。
 ただそういう人に限って、元々あまり使う気のないユーザーだった。

 企業内にポータルを構えると、きまって「ポータブル」と読み間違える人が出てくる。
 メールで書き間違えるだけでなく、声に出して言う。
 完全にポータブルだと思いこんでいるのだ。

 過去に「ポータブル」と強弁した人はすべて 50歳代だった。



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2009年11月10日 (火)

粋ではない I/F

ある日、あなたにメールが届く。
「注文が先方にIFされていません」

受発注業務に従事している人、コンピューター・システムの開発と運用に従事している人ならば、その言わんとしていることはわかるだろう。
だが、一般の人にはなんだかよくわからない。

こうして気軽に「IFされていません」「I/Fがうまくいきません」という人に、I/Fってなんですか?と尋ねると、たいていの人は答えられない。

インターフェース 【 interface 】 には大きく分けて、2つの意味がある。
1,ハードウェアやソフトウェアを相互に接続するための装置・規約・プログラム。
2,複数のシステムでデータをやりとりする部分の仕組み全般。

 インターフェースの言葉の意味は「境界」
 この言葉を日本で最初に取り上げたのは日立。
 企業イメージ広告で、日立がめざす方向性を「インターフェース」という言葉で表した。

 I/Fは「IT技術者がよく使う専門用語ランキング」がもしあれば、トップ3に入るコトバ。
 ただし口述で「あいえふ」「あいすらっしゅえふ」と言われることはなく、口に出して伝える時は「インタフェース」と言われる。

  IT技術者はこのように話す
「インターフェースはどうします?」
 この時、この短い言葉の中には、次の意味が含まれている。

 ホストコンピューターとクライアントサーバーでデータをやりとりするわけだけど、データのファイルレイアウト、個々のデータ項目の定義、個々のコード定義、データをどういう頻度、タイミングで受け渡すか、受渡し後の処理はどうするか、エラー発生時のロジックはどうするか、エラー発生時の運用はどうするか、それぞれのシステム担当者の役割分担・・はどうしようか

 なんと便利なコトバだ。インターフェース
 しかもメールで書く時はI/F。
 170文字の意味が、わずか 3文字で済む。

 ユーザーがコンピューターを使う時の入口になるマウスやキーボードのことを、ユーザーインターフェースあるいは、マンマシンインターフェースと言う。
  データ入力画面のことを、インターフェースと言う人も多い。
 内閣告示で長音は省略できないのだが、 大半の人が長音を書かずインタフェースと書く。

 I/Fと言えば「データのやりとり」を指すことは、2009年の日本では共通理解されている。
 ただし、IT技術者ではない一般ユーザーがI/Fと書くのはやめた方がいい。

 自分の領域における専門用語を、立場がちがう人に言ってはいけない。
 IT技術者はユーザーに対して「I/Fがうまくいっていません」と書いてはいけない。
 「データが正常に送信されていないようです」と書くのが正しい。
 時として、横文字専門用語は事実を曖昧にし、責任を曖昧にする。

 ユーザーは、職人である技術者の真似をして「I/Fがうまくいっていないのでは」と言ってはいけない。
 そういうことを日本では「知ったかぶり」と言う。
 職人には職人のコトバがあり、それを素人が使うのは粋ではないのである。

粋ではない会話の例
◆寿司屋のカウンターにて

客 「大将 あがりちょうだい」
大将「はい お茶 一丁」

客 「大将 おあいそ」
大将「はい お勘定して」

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2009年6月27日 (土)

無線LANを会社に導入させる方法

**社長 様

誓約書

私こと、佐藤一郎は、

この度の 海外第一事業本部 における
無線LAN機器の導入に際し、

今後、無線LANに起因する 情報漏洩により
会社が被った損害金額について

会社が試算した全額を、個人補償することを、
ここに誓約します。

2009年*月*日
海外第一事業部
佐藤一郎

 事務所に無線LANを引きたいという人が、後を絶たない。
 会社は、セキュリティレベル維持のために、無線LANの使用を禁止しているのにも関わらず。

 無線LAN技術は、一定のSecurityが確保されており、素人が情報を盗み出すことはできない。
 だが、情報を盗み出そうという悪意のある専門家にとっては、有線LANよりも、無線LANのほうが、格段に敷居が低い。

 どうしても、無線LANを引きたい、佐藤さんはこう言うのだ。

 だって、便利じゃん 無線LAN。
 僕らは一日中、机に座ってるわけじゃないんだよね。
 社内のあちこちに移動して、打合せするのよ。
 LANケーブルが出てる所ばかりじゃないからね。LANの本数だって限られてるし。

 そもそも、セキュリティってなに?
 産業スパイがウチの会社を狙ってるって?
 現実、あり得ないでしょ。

 単に、自分の席だと、周りに上司がいて 息苦しいから、喫茶コーナーとかに行って、思う存分、ネットがしたいだけでしょ?
 そんなことは、思っていても口に出せない。
 セキュリティ確保について説いても、こういう有事を想定しない人とは、どこまでいっても平行線。
 接点がない。

 そこで、冒頭の誓約書。
 これを出したら、あなたの会社でも、思う存分、好きな場所で、ネットをやらせてもらえます。
 祝!無線LAN導入。



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