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2005年10月16日 (日)

ロナウジーニョと3メートル

 担当しているコンピューター・システムの世界会議は、メーカーの本国であるイスラエル開催を軸に検討されていた。しかし、イスラエルは日本外務省の海外危険情報で「渡航延期勧告」が出ている。恐らく先進諸国のイスラエルへの対応はどこも同様だろう。そこで欧米人が集まりやすく、しかも、カンファレンス開催の諸費用が安いバルセロナが会場になった。

 欧州はオランダ以外に興味がない僕にとって、イスラエルに行けないのであれば、あとは何処でも同じこと。バルセロナはオリンピックがあったことと、佐野元春の「バルセロナの夜」しか知らない。だいたい遊びに行くわけじゃないし、フリータイムはグラシア通りで2時間だけと聞いていたので、スペインのいかしたシャツでも買えればいいな・・くらいで、それ以上の期待感はなかった。

 スペインは観光立国で、観光客数は世界第2位(5,200万人:2002年)。国際観光収入も世界第2位(4兆円:2002年)、日本は500万人で、0.4兆円なので、人数・収入ともスペイン10分の1に過ぎない。

 EUにはシェンゲン協定があり、EU圏内であれば一度入国手続きをすればよい。僕たちはドイツで入国し、国内便に乗るような感覚でバルセロナへ乗り継いだ。

 西の方角へ移動すると時差を追いかけるため一日が長くなる。成田をお昼前に出て15時間ほどの移動をしてきたのに、着くとまだ夜のとばりが降りてきたばかり。これは疲れる。

 バルセロナの空港からはチャーターされたバスでホテルに移動する。バスを降りて荷物を受け取り「さぁこれで、やっと休める」と思ったら、ホテルの入口には黒山の人だかりができていていた。

 「え~っ、チェックインが渋滞するのかよ」
 と、憂鬱になりながら、カートを押していくとコートで厚着したドアマンが「早く入れ」と
スペイン語で怒鳴りながら、手招きをする。

 「お、日本人は特別扱いか?」と訳のわからないことを考えつつ、ロビーに駆け込むと FIFAなんとか と書いた受付デスクがあり、その周囲には 「私は、エグゼクティブです」 と顔に書いてある外国人が余裕に満ちた笑顔でたむろしている。

「 どうしたんだい?ジェニー、今日は御機嫌 斜めだね。」
「 あら、あなたが今日はまだ 私をキレイと言ってくれていないからよ。」
 彼らの会話を通訳するとこうなる 
にちがいない

 ホテル側の説明によるとどうやら、この人たちのせいで僕らの部屋へのチェックインが遅れるらしい。

 日本からの時差8時間を修正すると、スペイン時間は19:00過ぎ。と言っても日本では午前3時なわけで、意識が朦朧としている。まさか、この人たちが移籍市場換算で 634億円のスーパースター集団 だとは知らなかったので、あちこちでフラッシュがたかれていても参戦する気にもなれずにいた。

 そこへ、ロナウジーニョがにこにこ笑顔を振りまきながら
 「通してよ、試合に遅れちゃうじゃない」たぶん)
と通り過ぎた。サッカーと言えば日本代表のW杯絡みの試合をテレビで見るだけでそれ以上の興味はない。それでも、ロナウジーニョだけは顔と名前が一致する。そこが、この選手の偉大なところでもある。 その5か月後、3m以内に近づくことができない目に遭うとは思わないので、時差ぼけで朦朧とする意識の中、まだカメラを構える気は起こらなかった。

 そこに閃光と共に現れた1人の選手がいた。

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