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2006年7月19日 (水)

香港最後の夜

 マカオから一旦、帰船。
 思い思いに過ごす船上の夏の夕暮れ。

 五島列島に住んでいた頃、船は乗り込むと、いずれ港を離れてし
まうものだったが、この船は何日もここにいる。船という住みかに
戻ってくる暮らしも今日で最後。

 夜は仲間4人で「楓林閣」を目指す。
 前日の食事は2軒とも広東料理だったので、今日は四川料理。
 店は空いていてすぐ座れた。ガイドブックにあったおすすめの品、
えびちり、スープ、マーボ豆腐などを頼む。お茶が美味しい。僕は
えびアレルギーなので食べられないけれど、えびちりは必ず頼む。
その料理の見た目と、食べている仲間の顔が美味しそうだ。
(仲間の顔を食べるわけじゃないよ)
 一人あたり2,500円。ポークの団子、マーボ豆腐、スープは
確かに美味かった。今回、香港では3度フリーの食事機会があった
が、いずれもヒット。店を決めた僕は、仲間から感謝の言葉をもら
った。

 外に出ると強い雨と雷。軒先をつたって雨をしのぎながらセブン
イレブンにたどり着く。オリジナルの傘がわずか29.5HK$。日本
ならば千円はするだろう。
 日本には売っていないハデハデのセブンイレブン柄。大人でも楽
に二人入れる!

 いよいよ香港ともお別れ。
 スーパーで香港$を使いきろうと、電卓とにらめっこしながら、
ドリンク+ツマミを買う。靴下も買う。それでも仲間たちは使いき
れず、隣りのお土産ショップで買い物。渡辺さんが$を持て余して
いたので、僕が円と交換で買い上げて消化してあげる。

 今日は新聞ミーティングはお預け。
 バー「267」で少し呑んで、23時の出航をデッキから見る。
 テープを2本投げてみた。夜景を写真に収めて船首に出る。
 「もう船上から、この香港の夜景を見ることはないだろうね」
と森さんと話す。定年退職してよほどの蓄えでもない限り、あり得
ないだろう。

 「人を幸福にしない日本というシステム」という書籍の題名が
頭に浮かんだ。
 日本は土地や家、車、衣食住、何もかもが高すぎる。このシステ
ムはどこかで誰かが変えることはないのだろうか?それは全く不可
能なのだろうか?
 いずれにせよ、こうした船旅の機会を得たことは貴重であり、
感謝しなければならない。

 日記を書きながらの晩酌の肴は、最後のスーパーで買った香港の
かっぱえびせん。味が妙に抜けていて、噛むと口の中でなぜかひん
やりする。シンガポールで買ったバーベキューフレーバーのかっぱ
えびせんは、そういえば美味しかった。

 出航してしばらくの間、船がけっこう揺れている。あとは日本を
目指す旅。3日後には鹿児島沖を通る。
 

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