デジタル機器のない時代
いよいよ13日間の旅、最後の日を迎えた。
今朝も昨日に続いて、7時の目覚まし時計が鳴っても、同室の二
人は起きあがらない。
朝食では初めてお粥を食べてみた。
ブロックリーダーが同じテーブルに座り
「最近はポルノ雑誌を買う人が減った」と言う。
ひと昔前は、海外旅行といえば、男が買うモノは、酒とそれと決
まっていたらしい。
そんなことで、遠い目をしないでもいいのにと、少し引いてしま
った。
レストラン前に大判の写真が張り出される。
1枚1,000円!
研修の間、プロカメラマンがずっと僕らを撮り続けていたが、こ
ういうことだったわけだ。自分が大きく映っていたカクテル教室で
の写真を1枚だけ買う。
この年の春にカシオからQV-10が発売されていたが、それを
初めて見たのはこの旅の後。
この年の1月、阪神淡路大震災があった後、僕は携帯電話を買っ
た。まだ、周囲にほとんど持っている人はいなかった。当時、海外
で使えるサービスはなかったので、旅の間、ずっとしまっていた。
もちろんカメラはついていない。
この年の暮れに Windows95 が出た。
ノートパソコン(OSはMS-DOS)を持ち込んだ僕はとても
珍しがられた。今でこそ、会議の参加者が全員パソコンを持ち込む
光景は珍しくないが、当時はパソコンを持ち込むだけで、よほどの
変わり者か、会議そっちのけで内職をしていると思われていた。
今でこそ当たり前のデジタル機器は何もなかったが、では何かが
損なわれていたかと今考えても、それを見つけることはできない。
ビデオカメラをずっと回している人もいたが、きっとほとんど見
ていないだろう。
手元に残っているのは数枚の写真だけ。それでも今はっきりと
映像を呼び出すことができる。
解団式
皆の拍手が一体となって、旅の終わりを惜しんでいるように聴こ
えた。また一方、大きな自信もそこに感じられた。
12時から最後の食事。
献立表にカツカレーと書いてあったが、ただのカレーだった。
トンカツを香港で積み忘れたのだろうか。
でも最後にカレーが食べられて、嬉しかった。
船が晴海に入る。デッキに出て接岸を見届ける。
出迎えがいる人が羨ましい。
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