ノートパソコンと営業マン
1990年代初頭
ノートパソコンで説明する営業マン。
数年後、外資系生保の営業マンがやっているのを見るまで、自分以外にそういう人を見たことがなかった。確かその生保会社ではソフトのコピー、改変を防ぐために外部媒体を挿しこむことができない特別仕様のノートパソコンを営業マンにもたせていた。
当時、僕の任務は担当していた商品の新規取引先開拓。
自作した資料は、マクロを組んだ Lotus1-2-3のブックによる経営シミュレーション。
一通り商品を説明した後、おもむろにカバンからノートパソコンを取り出して開く。
「じゃ、ちょっとシミュレーションをお見せしましょう」
こういうと、相手の顔色が変わるのが面白かった。
なかには「あ、コンセントいいですか?」と電源の心配をしてくれる人もいた。ノートパソコンを肉眼で見るのが初めてという人も多く、コンピューターがバッテリーで動くという想像力が働かないのである。
レジュームしてあるので、起動は割りと早い。
こういうときのために、ハードディスク内臓&レジューム付のパソコンが発売されるのを待っていた。発売と同時に予約して買った。
「ここの事務所は6坪くらいですか?」
そう言ってあたりを見回す演出を入れながらセルに「6」と入力する。電話回線はえ~っと9本ですね。それと、さしつかえなければ営業社員は?
初対面では普通は聞けないような情報が、楽々と手に入る。
こちらが初年度、そして次の画面が5年後になります。
初年度はイニシャルコスト分があるのでとんとんですね・・
数字は話し半分なのは、大人ならばわかっていること。
利益が5年で2000万円です!
と言われて「じゃ、契約!」というようなお気楽な人はいない。
大切なのは、経営に紐づく数値項目の把握、論理的思考を僕がしているということのアピール。
社長さん「これ、**(会社名)さんで作ったの?」
moto「いえ、自分で。会社はコンピューター買ってくれませんから」
9月30日に続く
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