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2006年10月 5日 (木)

ISO?ベストプラクティス?

 IT業界人がITIL(あいてぃる)について話すとき、彼らは必ず "ベストプラクティス" という言葉を使う。
 これは「勝ち組、負け組み」と同じくらい嫌な言葉で、もし相手が親戚だったら説教したくなる。
 何が嫌かというと、自分が努力して積み上げたことでもなければ、その目で現場を見たことわけでもない。それを、さも見てきたようにワンフレーズで片付けてしまう尊大さ。虫ずが走る。

 自分で知恵を出して試行錯誤し、数々の失敗を経てようやく仕事の形ができた。そうして汗を流した人は、自分の努力の記録を「ベストプラクティス」と言いはしない。

 そういう他人の努力をまとめて "いただく"のであれば「好事例を体系化して、システム化しました」という程度の堅実な表現が似つかわしい。

 それをITベンダーの営業マンは「間違いないです。ベストプラクティスですから」と涼しい顔で言い放つ。たかが好事例に過ぎないのに、それがすべての会社に当てはまるという認識は誤解だ。

 ただし、その営業マンはベストプラクティス病にかかっているので、自分の誤りに気づかない。

 ITILの認定資格である ISO20000 は 資格と規格が大好きな日本人に受け入れられるだろう。

 営業の立場から言って「あいてぃる」では押しが弱い。
 「また、売りつけようと思って難儀な欧米のものを持ち込んで・・」という目で見られるのが関の山だ。
 だが、ISOは違う。ISOは有名だ。
 日本人ならばJISにもっと畏怖を抱いて欲しいが、実際にISOは説明要らずで受け入れられる。
 なぜか、皆「はは~っ あいえすおー様 」と畏れている。

 IT利用による業務改善への興味もセンスもないが、権威に弱いヒラ社員。
 カネは使いたくないが、外圧に弱い管理職。 こういう人種には ISO の名前でプレッシャーがかけられる。

 IBMはITIL創成期より、これに深く関与している。
 IBMのコンサルが入ってくると ITIL を強く薦める。
 だが、薦めている方も、薦められた方も、ITILの話をしている時は、お役人みたいな難しい顔になり、活き活きとしなくなる。笑顔が消える。

 日本人は法治と人治の中間スタンスをとる民族。
 元々、契約、条文で縛りあう風土がないのだ。

 ITIL、ISOを推進して、自分の会社はハッピーなのか? 導入によって、誰が得をしているのかを 一度立ち止まって考えるとよいだろう。


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