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2006年12月26日 (火)

電子化が失敗した日

 その部署では会議室の予約をする時は、会議室の前に貼ってある予約表に書き込むようになっていた。
 予約表は3か月先のものまでが貼ってあり、その月が終わると、事務員が新しい1か月分の紙を貼り出す。

 PDAでスケジュールを管理し始めて15年という佐藤さんは、以前からこれを不便に感じていた。

■3か月以上先の会議が決まっても会議室を確保することができない。

■会議室の前まで行かないと、予約や確認ができない。

 そこで、佐藤さんは上司の鈴木課長に、こう提案する。
「グループウェアにあるスケジュール帳で、会議室予約をやりませんか?」

 すると、鈴木課長も同じ不満を抱えていたということがわかり、意気投合する。
 佐藤さんは灯台下暗し、なにごとも口に出してみるものだ。と思った。

 だが、鈴木課長には心配もあった。
「でもねぇ、そういうこと思ってるのって僕と佐藤さんだけなんだよねぇ」
 結局、グループウェアの利用は即決には至らなかった。

 そんな話しも忘れていた3か月後のある日、鈴木課長の鶴の一声で会議室予約がグループウェアで行われることになった。

 グループウェアにはまずIDとパスワードでログインしなければならない。
 一度ログインした後も、30分以上アクセスがないと強制的にログアウトされてしまう。時間切れになると、再度IDとパスワードが必要だ。
 元々、この部署はグループウェアを誰も使っていなかった。
 人々が言う使わない理由は「認証が面倒だよ」だった。

 電子会議室では、過去に幾度か盛り上がりをみせたスレッドもあったが、1週間もすれば、すぐまた長期の冬眠にはいる。
 これは、恐らくイントラネットを持つ大半の企業に共通していることだろう。だが、佐藤さんはこんなことはウチの会社だけに違いないと嘆いていた。

 そんな状況で、突然始まった「会議室の電子予約」
 自分のパソコンで、会議室の状況がわかるのは快適である。
 だが、そんな快適な日々は長く続かなかった。

12月28日につづく



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