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2007年2月20日 (火)

東京マラソン翌朝

 今朝、起きて真っ先に考えた

 3万人のランナーたちは、今朝起きてなにを考えているか

 晴れた空を見上げて
「これが昨日だったらなぁ」
と思った人もいるだろう。

 いや、雨だからこそ思い出深い一日になった
と考え直す人もいるだろう。

 苦労は多いほど、あとでネタになる。

「絶好のコンディション、最高の運営、ダメなのは僕の身体能力だけでした」
では語りネタにならない。

 世界歴代2位の記録を持つアスリートでさえ寒さで棄権する大会を、僕は凍えながら走りきったんだ。そういう意味では僕は世界一だね。

 完走した皆さんには、そう言える権利がある。

 96%のランナーが完走したという数字は、多くの人にとって驚きを持って迎えられるはずだ。

 僕も去年の初マラソン前に、荒川の完走率が96%もあるのを見て、なにか数字のトリックがあるのではないか?と邪推したほどだ。
 マラソンに備えて少しでも練習を積んだ人が、7時間以内にゴールするのは驚きではなく、当たり前のことだ。

 ただ僕がこのように言えるのは、一度42kmを完走した経験があるから。
 この経験が一度もないうちは、
 途中で飽きるんじゃないか。
 足がつって走れなくなるんじゃないか。
 お腹が痛くなるんじゃないか。
 不安で仕方がない。

 この不安があるから、楽しい。

 始めから勝つことがわかっているプロ野球
 OKの返事が確実な告白
 約束された出世

 そんなことの何が楽しいのか。

 フルマラソンを完走した推定25000人ほどのうち、初完走した人たちは今朝、昨日とは違う世界に気づいただろう。

 マラソンは完走した日よりも、次の日
 そして、それからもずっと、心に大きな自信と充実感が広がっていく。

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