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2007年2月 2日 (金)

高千穂のうなぎ

 宮崎県高千穂のユースホステルは夕飯にうなぎが出ることで有名
とガイドブックに書いてあった。
 僕はそれを知らずに立ち寄った。
 大学四年の春。今ならば卒業旅行としゃれ込むところ。時間はあるけどお金がない僕は、バイクに着替えを積んで友達やユースを渡り歩く一人旅。

 その日も、日が暮れてきたので近くにあったユースに電話をかけた。
「今ならば、ちょうどう一人分空きがありますよ」
 まだ陽はあったが、ほとんどの泊まり客は既に到着していて、バイクのエンジン音を聞きつけて皆が縁側から顔を出す。
「こんばんは~」
 実はユースホステルに泊まるのはこの日が初めて。
 いったいどういう雰囲気の場所かを知らない。
 いきなり、見知らぬ男女大勢に声をかけられて戸惑っていた。
完全に冷静さを失った。

 エプロンをかけた、スタッフらしき人が人垣から顔を出して、僕に聞いてきた。
「うなぎ、食べられる?」

 うなぎ、たべられる?
 どういう意味なんだろうか
 うなぎは高級品だ。僕は大学の4年間うなぎを食べた記憶がない。
 その前いつ食べたかもわからない。
 うなぎという食べ物があったことさえ、忘れている。

 きっとうなぎは高いのだろう。
 僕は見るからに貧乏そうな学生だし、スタッフは僕がうなぎ代を払えないのではないかと心配しているに違いない。
 僕が「いいえ」といえば「それじゃぁ目玉焼きね」と言ってくれるのだろうか。

 どういう意味ですか?
 冷静に考えれば、そう聞き返せば済むことだ。
 だが縁側から鈴なりになって僕を見つめる人々の前で、それが言えなかった。
 「は?はぁ」

 夕飯はうな丼だった。
 割増料金を取られるかと思い、はらはらしていたが、料金はふつうだった。
 食後に茶碗を洗ったので、値引きしてくれたのかと思ったが、それはどこのユースでもよくある光景だった。

 うなぎの主成分はビタミンA・B1・B2・カルシウム・脂肪・たんぱく質・鉄・ナトリウム・リンなど。老化を防ぐ健康食でもある。

 鰻の幼魚はシラス。人工孵化の実験が行われているが実用化はしていない。
 人工孵化が成功して国産の美味しいうなぎが安く食べられるようになる日が待ち遠しい。



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