走りが途絶える時
26km
第9エイドにエナジータブらしきものがあったので恐る恐る3つとる。お菓子のジューシーそっくりの色・形。味も似ていた。
マラソンの道に入るまでは、とぼとぼ走るくらいならば歩いた方が速いのでは?と思っていたが、実際にはどんなにゆっくりでも走る方が速い。
気が付けば、周囲のランナーは皆歩いている。僕だけが走っている。辛くても1キロ10分を切れるうちは走らなければ。脳内で合理的な判断力よりも意地が勝っている。
ただ1キロ10分を超えたらそこからは歩ける・・という免罪符が提示される。次の計時でいっそのこと10分を超えて欲しいと願う気持ちが起こる。だがこのラップは9分48秒。
25.4km手前で3つめの「パワージェル」。"
27km
走りつづけてきたマラソンが終わる時がきた。
行く手に昇り坂が見えてきた。後で確認するとわずか8mの高低差だが、その坂を上れる足の状態ではない。
坂の手前26.9キロ
時間にして3時間53分で歩き始める。27キロ時点の目標ペースは4時間1分なので、これでもまだ8分の貯金がある。
28km
4時間が経過。あぁ4時間か、もうそんなに経ったのか
ポーチに3個入れてきたキャラメルの一つをほおばる。キャラメル一つでさえ、ペース配分を考えている。荒川はエイドが充実しているので持ってくる必要はないのだが、欲しい時に手元にあると安心感がある。包み紙が風で飛ばされてしまう。ゴミは一つも落とさないと決めていたが、振り返る力がない。
29km
26キロ過ぎからゴールまで、2曲を除いては、後で曲リストを見ても、聞いた覚えがない。それほどに疲弊していた。音楽は耳には届かないが、僕の意識を支えていたのだろう。
30km
辛い時、それが辛くないように感じるイメージトレーニングをしておいたせいか、強風にも笑いがこぼれる。強風に体が全然前に進まないし、寒くて凍えそうなのに、それが可笑しくて仕方ない。
へらへら笑いながら進むランナーは沿道から気味悪がられるかと思ったが、このマラソンではごく一部のポイントを除いて応援は皆無。こんな風の強い日に吹きさらしの河原に来る人は少ない。
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