モッタに癒される
ファンクラブの僕らの叫び声はデコに届いたようだ。
視界のすみに「でこすけ」も捉えていたのだと思う。
「今日はしかたないよ」
デコはうつむき加減、サングラスをかけていて表情は窺えないのだが、口元がほんの少し笑っているように見えた。
あぁあ・・
かざしていたデコユニを下ろして落胆する僕達。
その時左の方から、そのあたりの全員にサインしてやってくる選手がいた。
デコがクラブ内の親友と語っていたモッタ。
だが最近彼はインタビューに答える時はロナウジーニョの名前しか挙げないのが少し不満だ。
モッタは淡々とマジックペンを受け取っては、ファンが差し出すあらゆるものにサインしていく。モッタのマーキングが入ったユニはなく、皆それぞれのマーキングが入ったユニフォーム、ノンマーキングのユニフォームの胸側をかざす。サイン色紙、トレーディングカード・・
僕らはすかさず、デコ20のユニを裏返して胸側をみせ
「モッタ!」
モッタは表情ひとつ替えず、僕から黒マジックを受け取る。まず僕のユニにサイン。そして仲間のユニにサイン。そこでペンを返してもらった。
するととなりの件のおばさんがいつの間にか「メモ帳」を出して突き出している。
モッタが僕に眼でサインをよこす
「おい、ペンがないぞ。貸してやれよ」
僕が再度、マジックペンを差し出す。おばさんのメモ帳にペンを走らせて、僕にペンを返すとそこで人は途絶え、モッタはフロントへと消えた。
おばさん「あの選手は誰なの?」
moto「モッタです」
おばさん「かっこいいわねぇ。映画俳優みたい」
彼女の指摘はいいところを突いている。
アイドル的ルックス偏差値に重きを置かない補強をしているバルサには珍しいイケメンのモッタ。
来日前のインタビューでは
「日本では女の子のファンが多いんですよ」
と記者に言われて、ほんと?知らなかったな。女の子が・・
と絶句していたモッタ。
確かに女の子・・のファンが多いと思っただろうか。
モッタ優しいねぇ
僕らはデコにスルーされたものの、モッタに癒されて宿舎を後にした。
日本に着いた日のデコはサインの気分ではないということが、これで確定した。
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