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2007年3月 8日 (木)

マラソン途中の渋滞

 11km
 レース前には、10kmを過ぎた時に未知の距離への恐れを感じるのでは?と思っていたが、不思議とそれがなかった。
 不安をワイプアウトするメンタルトレーニングをしておいたのが少しは役に立った。

 12km
 これまで河川敷のコース道幅いっぱいを使って走っていたが、センターラインから左に寄るよう規制される。
 しばらくすると、対抗車線から先頭の選手がやってくる。
 速い!
 別世界のスピードで精悍だ。隣を走っていた女の子たちが
「かっこいい」「感動した」
と言い合っている。このあたりはまだ、仲間同士で笑いあう声が聞こえる。"

 13km
 続々とランナーが帰ってくる。ゼッケンナンバーが4桁のアスリートたち。だが、それに混じって5桁ゼッケンの選手も多い。60歳は超えているように見える方も大勢いる。

 僕はしばらくそのランナー達をじーっとみていた。
 彼らは別世界の人間じゃない。同じ人間なんだ。僕にできないはずがない。そう思うことで、自分の可能性を大きくできる気がした。
 「君を連れて行く」佐野元春 ~神戸の震災を象徴する曲。あの頃の映像が流れてくる。震災前夜、名古屋で一緒に遊んだ神戸の友達二人、当時は彼と彼女だったが今は一児の両親になった。あれから11年。

 14km
 ここまでタイム的には快調なのだが、疲れを感じ始めていた。
 ただそれを認めたくはなかった。
 まだ、こんなところで歩き出すわけにはいかない。何キロまで走り、残りは歩くと決めているわけではない。体との相談だが、僕には経験という過去の財産がない。

 15km
 10kmを過ぎてもコンスタントに7分20秒前後をキープしている。
 前方を見やると人が溜まっている・・ 渋滞?
 「あ~ぁ、止まっちゃったよ」
 隣の人が言う。まさに渋滞。
 確かに事前資料で「走行上の注意」として15km付近で道幅が狭くなることがアナウンスされていた。しかし、まさかマラソンの途中で渋滞で止まるとは・・
 スタートのロスタイムはネットタイムからは差し引かれるが、レース内での渋滞はロスタイムとして計算されない。マラソンも何が起こるかわからないスポーツなのだ。

 だが、これが僕には幸いする。
 辛くなり始めていた足の付け根の痛みが、大きく腿を上げて歩くことで和らいでくれた。

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