マラソン途中の渋滞
11km
レース前には、10kmを過ぎた時に未知の距離への恐れを感じるのでは?と思っていたが、不思議とそれがなかった。
不安をワイプアウトするメンタルトレーニングをしておいたのが少しは役に立った。
12km
これまで河川敷のコース道幅いっぱいを使って走っていたが、センターラインから左に寄るよう規制される。
しばらくすると、対抗車線から先頭の選手がやってくる。
速い!
別世界のスピードで精悍だ。隣を走っていた女の子たちが
「かっこいい」「感動した」
と言い合っている。このあたりはまだ、仲間同士で笑いあう声が聞こえる。"
13km
続々とランナーが帰ってくる。ゼッケンナンバーが4桁のアスリートたち。だが、それに混じって5桁ゼッケンの選手も多い。60歳は超えているように見える方も大勢いる。
僕はしばらくそのランナー達をじーっとみていた。
彼らは別世界の人間じゃない。同じ人間なんだ。僕にできないはずがない。そう思うことで、自分の可能性を大きくできる気がした。
「君を連れて行く」佐野元春 ~神戸の震災を象徴する曲。あの頃の映像が流れてくる。震災前夜、名古屋で一緒に遊んだ神戸の友達二人、当時は彼と彼女だったが今は一児の両親になった。あれから11年。
14km
ここまでタイム的には快調なのだが、疲れを感じ始めていた。
ただそれを認めたくはなかった。
まだ、こんなところで歩き出すわけにはいかない。何キロまで走り、残りは歩くと決めているわけではない。体との相談だが、僕には経験という過去の財産がない。
15km
10kmを過ぎてもコンスタントに7分20秒前後をキープしている。
前方を見やると人が溜まっている・・ 渋滞?
「あ~ぁ、止まっちゃったよ」
隣の人が言う。まさに渋滞。
確かに事前資料で「走行上の注意」として15km付近で道幅が狭くなることがアナウンスされていた。しかし、まさかマラソンの途中で渋滞で止まるとは・・
スタートのロスタイムはネットタイムからは差し引かれるが、レース内での渋滞はロスタイムとして計算されない。マラソンも何が起こるかわからないスポーツなのだ。
だが、これが僕には幸いする。
辛くなり始めていた足の付け根の痛みが、大きく腿を上げて歩くことで和らいでくれた。
| 固定リンク | 0
「しらべるが走る!」カテゴリの記事
- 我が心の引退レース(2022.03.09)
- 長崎平和マラソン エントリー方法発表!(2020.02.12)
- 大迫傑曰く「タイムは気にする必要はない」(2020.01.21)
- マラソンの最後の1kmは、それまでの41kmとは絶対に距離が違うと思う(2020.01.20)
- 地道に走り、最下位を脱出(2020.01.18)