うつむいたデコ
バルサがやってきた。
デコファンクラブのメンバーと待ち合わせをして、ホテルで到着待ち。
ここでの作戦は、作ってきたプラカードでデコの注意を引いて、寄ってきたところでサインをもらおうというもの。
相当な人出ではあったが混乱もなく、ファンは整然と到着を待つ。ホテル側は過去に欧州クラブの宿泊を経験しており、手馴れているようだ。
ファンとコミュニケーションをとりながら、着々と準備が進んで行く。
僕の右側には、おっかけでよく見かける青年がいる。彼はサインマニアでトレーディングカードファイルには、欧州サッカー選手のサイン入りカードをたくさん入っている。
その隣りには、偶然居合わせたおばさんがいる。
おばさん「これはなんの列なの?」
青年「いや、サッカーっす」
おばさん「もしかしてロナウジーニョとかも?」
青年「そうっす」
おばさん「じゃ見れるかなぁ。サインもらえるかしら。でも紙が・・」
そう言ったおばさんは、レストランの紙ナプキンを取り出して、これにとか言って青年を呆れさせている。
待つこと2時間バルサ一行を乗せたバスが着く。
早くにスタンバイしたので、好位置をキープしている。あとはデコの出方次第。
前回の来日時は全員スルーだったが今回はどうか?緊張が走る。
まずチームスタッフが降りてくる。
そして若手の選手。17歳のジオバンニ・ドスサントスの姿も見えるが、彼は誰にもサインをしていないようにみえた。
誰かが近くにやってきた。よく見慣れた顔。サビオラだ。
左手のほうから順番にサインしていく。
だが、僕らはサインをもらわない。
別にデコに義理立てしているというわけではなく、構えているのがデコ20のユニフォームだからだ。
サビオラに限らず、他の選手に20番のユニに書けというような非礼はできない。
とにかく、デコが通るまでは20をかざしてデコを待つ。
すると「デコ!デコ!」とファンの叫び声があがった。
サビオラのむこうにかすかにデコが見えた。
デコは両脇に並んだファンの列に視線をやらず、花道のど真ん中をスルーしていく。
サングラスをかけたデコはうつむき加減。
ついに僕らの目の前にさしかかる。
僕らは「でこすけ」をかざして、デコ~と叫んだ。
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