最後の一枚
2007年、MR-Sが新車販売を終える時がきた。
1月9日 V EDITION・FINAL VERSION 発売(特別仕様車 限定千台)
海外では既に販売終了しているが、日本国内においてもこの千台が売れると、販売終了する。
1月末、ベース車の生産終了
このニュースに気付くのが遅れた。
ただ、年間千台売れるかどうかのMR-Sだけに高をくくっていた。
まだ3か月、まだまだ売れていないだろう。
とりあえず、カタログをもらい、気のない商談でもしようかと近くのネッツを訪れる。
自宅から一番近いネッツ、買うならばココでと決めている。
この店では以前、MR-Sを試乗したこともある。
「シーケンシャルを」と言っておいたのに、用意されていたのはMT。
それよりもショックだったのは、ディーラーの社員が助手席に乗り込んだことだ。
幌を上げて、見知らぬ男性と狭い車内に二人きりというのは、あまり愉快ではなかった。
「今日はどういったご用ですか?」
クルマをおりるとすぐ、店員が声をかけてくる。
一旦店内に入ると、向こうからは声をかけてこないネッツ。
だが、入り口ではしっかり対応してくる。
入り口でも店内でも無関心を装うディーラーもあるが、これにはがっかりする。
その日に買うわけではないとしても、やる気がないように映る空かした態度は消費者として不満だ。
MR-Sなんですけど
そう言うと若い兄ちゃんの表情が曇った。
「確か・・」
嫌な予感は当たっていて、先週最後の一台が売れたという。
カタログも皺が入った最後の1枚。
1年で千台がやっとのクルマが3ヶ月で千台売れる。
いかにこのクルマを密かに欲しかった人が多いかを知った。
マラソン完走に気を取られていた頃、最後の一台が売れていった・・
しかし、そんな悠長なことは言っていられない。
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