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2007年4月25日 (水)

大きいあんぱん

 あたりには歩いている人がめっきり増えた。
 歩いていいのならば、僕だって歩きたい。
 でも僕は関門ぎりぎりのペースで走っている。
 みんなどうしたの?もう完走は諦めているの。それとも止まったり走ったりできる人なの?

 初マラソンを走る前、走ったり歩いたりをくり返す作戦を立てていたが、アートスポーツの店員さんにあっさり却下された。
 マラソンは走り続けなければならない。もし走りが止まっても、歩き続けなければならない。だが去年の経験から一度歩き出すと、その次に足がどう反応するかがわからないため、その勇気が湧いてこないことを知っていた。
 今日は走り続けるためにきた。
 いや、走り続けなければ完走できない設定のレースに来ているのだ。

 第二関門は23km大磯西I.C.(復路)
 11時59分(スタートから2時間59分)
 ここを3分ほどのマージンを残して通過
 関門はデジタルの計時板とパイロンが立っているだけのもの。スタッフも二人くらいしか見えず、ここでランナーに「はい、止まって」と言いそうな素振りはみえない。少々はお目こぼしがあるんじゃないかそんな気さえしていた。
 走り始めてまだ一度も後ろを振り向いていない。
 相手のあるレースならば、後ろをふり返る必要もあるだろうが、個人記録だけが勝負の市民マラソンでは後ろをふり返ることに意味はない。
 ただ、この後ろにもまだ多くの人がいるはずだ。本当に関門で止めるのだろうか。
 ペースは上がらない。身体は動かない。

 24km
 右足のすね辺りがつってきた。
 マラソンの世界に入ってこれは初めての痛み。緊張が走る。ただでさえ遅いペース、それさえも守れなくなる。
 少しペースを落としてなんとか、やり過ごせることを祈る。

 25km給水
 5つ持参したうちの4つめのパワージェルを摂り、スポーツドリンクを飲む。

 湘南国際は折り返し後のエイドだけに給食が置かれる。初めての給食。まずアンパンが目に入ったがでかい。エイドのアンパンは1個まるごと置いてあるわけではなく、1個のあんぱんを4つに切るとか、6つに切るというマニュアルに沿って切り分けられている。いくつに切り分けるかという指示が曖昧だったのだろうが、あまりにでかいので差し出した手を引っ込める。結局一つ先のテーブルにあったバナナを取る。お腹が空いているというわけではないが、少しでも多くエネルギーが欲しい。
 この給水がよかったのか、エイドを出ると右足のつった感覚は消えていた。
 恐らく20kmの給水が足りなかったのだ。暑くなってきた時は多めに給水するという学習をした。

 26km
 沿道には私設エイドが増えてきた。
 事前配布資料には「特定の選手へ飲食物など物品を渡すことはできません」とあったが、市民マラソンではこれを禁止するのは野暮というもの。
 時間にゆとりがあれば、その気持ちに応えて受け取りたいのだが、なにせ先を急いでいてその時間がない。

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