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2007年4月11日 (水)

無料のハイタッチ

 10kmを過ぎてから15kmまでは、ほとんどの曲を鳴っていたことすら覚えていない。
 十分に心のスタミナはあったし、息もきれいにできていたのだが、疲れは始まっていた。

 1km7分、5kmで35分という設定は楽なペースだと思っていた。だが実際には1km7分を少しずつ超えていく。
 10km→15kmのラップは予定より1分遅い36分。この時はあまりたいした問題ではないと思っていた。沿道の応援は徐々にまばらになってきた。

 15kmを過ぎてからもほとんどの曲を覚えていない。
 湘南のコースは直線が多く、はるか前方が見渡せる。視界の中に人の頭がたくさん見える時はフラットか下り。人の身体しか見えない時は上り。そう判断してペースを替えているが、走っているとほとんど上りを走っている感覚がある。
 往路は上っていくコースなのか?それならば復路はぐっと楽になる。それを楽しみに早く折り返したいという一心で進む。

 沿道に「無料でハイタッチしていただけます」というプラカードを持った集団が待っている。思わず笑ってしまった。前にいたランナーに続いて僕も次々にハイタッチしていく。
 その中にいた一人が
「デコ がんばれ!」
 と声をかけてくれた。
 去年の荒川ではデコ20マーキングのバルサユニフォームに反応してくれた人は一人もいなかった。
 今回は「あ、デコだ」と叫んだ子どもが二人。
 「バルサ、ファイト!」と叫んでくれた方が一人。
 CWCのお陰で去年よりもデコが有名になったことを実感する。

 17kmあたりからは自動車専用道路「西湘バイパス」に入る。
 有料道路に上がるまでなだらかな上り。追い風だったのか、さほど辛くはなく上りきる。

 距離表示が近づいてきた。次は19kmだと思っていたら「18」
 9と8を見間違えるのかと、しげしげと見たが何度見ても8。このあたりから意識が揺らいでいたのか・・
 バイパスには防砂林はない。左手に海が間近に見える。だけど景色がどうこうという感傷はない。防砂林で日陰ができるほうがいい。

 早く折り返したい。残り半分を切った。そう思えば気持ちも変わる。
 西湘バイパスに歩行者は入れないので応援はないはずだが、海辺から上がってきた人やサーファーがガードレールを超えてきてじっと見守っている。

 15km~20kmのラップは38分30秒。
 予定より1分30秒しか遅くない。
 まだこの時は、なんの危機感もなかった。



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