戸棚で眠っていた新幹線
今回、デコに渡そうと思って用意してきたのは、新幹線のNゲージモデル3台。
300系、500系、700系が1台ずつ。お子さんが3人なので一人一台。
去年の夏、愛・地球博に「のぞみ」で日帰りしたデコが新幹線を気に入ったことを聞きつけ、お土産に渡そうと思って用意していた。
だが、それを手渡すことはできなかった。
Regalo Deco!
デコ お土産だよ!
そう書いておいたマジックの字は、1年間戸だなの奥に仕舞っているうちにかすれてしまっていた。
お土産に添えたメッセージは
「お手紙読んでくれましたか?
デコファンクラブのみんなは、CWC、ユーロ、2010W杯の活躍と優勝を応援しています」
ファンクラブメンバーがポルトガル語に翻訳してくれた。
お手紙とはファンクラブでデコに送ったエアメール。果たしてデコの手元に届いたのかすらわからない。
試合が終ってから1時間半を過ぎ、日産スタジアムから流れてきた人までが、ホテル前に合流している。その数はざっと数えて200人は下らない。
冷たい雨。体温が下がってくる。
半身をねじ込んだ体勢で2時間が過ぎ、体が悲鳴をあげている。
もしこれで、プレゼントが渡せなかったら・・
イメージしたことは、現実を引き寄せてしまう。
すぐ、その考えをかき消す。
そして、ファンクラブメンバーの顔を思い浮かべる。
「みんな、僕に力をください」
柄にもないことを祈ってみる。
予定の時間を1時間ほど過ぎた頃、冷たい雨の中、バルサのペイントバスが帰ってきた。
それと同時に、2列め以降の人垣が強烈に押してきた。
必死に足を踏ん張る。
その前ではホテルマンたちが、バリケードを守ろうと必死になっている。さっきまでは視界の邪魔だから他に行って欲しいと思っていたが、ここは踏ん張って欲しい。
もし、バリケードが崩れるようなトラブルになれば、選手は全員スルーしてホテル内に入ってしまう。
選手が降りてくる。
その時、再び後ろと左から押された。後ろから色紙やユニフォームを差し出す手が遠慮なく僕をかすめていく。その拍子にメガネが90度ずれて左耳にまわった。後で考えればよく落ちなかったものだ。
両手はふさがっていて、メガネを直すこともできない。
視界ゼロ
人がさらに密集し、誰が目の前を通っているのかもわからない。
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