これはこれで嬉しい合コン
金曜の夜に似合う華やかな服装に身を包んだ鈴木さんと佐藤さんが10mの距離に近づいた時、田中さんが振り向いて二人を視認した。
「やばいっ やばいよ motoちゃん!鈴木さんと佐藤さんだよ」
え、どうしたんですか? は、鈴木さん? え、どこどこ?
どこまでもぼける
「やばいって」
街路樹の植え込みに隠れる田中さん、僕ら三人は爆笑をこらえて、さらに追い打ちをかける。
moto「あれ?どうしたの」
鈴木「えぇ?motoさんだ~ 今から私たち合コンなんですよ」
moto「えっ奇遇だねぇ。僕らも合コンなんだ。ね、田中さん」
なんで、俺に話しかけるんだ?
顔をゆがめつつ、瞬時に平静を装って田中さんが街路樹から出てくる
佐藤「なにしてたんですか?そんな所で 怪し~っ^^;)」
田中「いや、ちょっとね。え、なに合コンなの?あっそう ふーん」
きっと彼の脈拍は100を超えていただろう。
moto「何時からなの?」
鈴木「6時からですぅ」
moto「あ、僕らもだよ。これまた奇遇だね~ じゃあと5分あるから、ちょっといこうか?」
鈴木・佐藤「(声をそろえて)はい!」
田中「はいってあなた、え、何いってんの?」
声にならぬ声で抗議する田中さんに目もくれず、僕ら3人は歩き出す。
田中さん、何が何だかわからないと困惑した様子で着いてくる。
5分後
焼き鳥が美味しいその店で、二人ずつ向かい合ってテーブルを囲む。
moto「じゃ、合コンにかんぱ~い」
え、合コン、え、そうなの?
テーブルに崩れ落ちる田中さん
「気づくの遅すぎ~」
そこから1時間は、当日のリプレイで盛り上がる。
サプライズパーティが楽しいのはこのリプレイタイム。騙された方も嬉しい誤算だからこそ、どれだけ言葉の洗礼を浴びても笑っていられる。
田中「いや、これはこれで嬉しいよ」
鈴木「これはこれで・・」
また、そこから散々叩かれる。
焼鳥屋で始まった合コンは、カラオケへ流れ、いつもの調子っぱずれな歌い納めをした頃には1時を回った。
皆が言葉を飲み込んで、おやすみを言った。
こんなにも、楽しい時を過ごした仲間は明日にはばらばらになり、そしてこの同じ仲間が集うことはもう一生ない。
翌日、彼は次の赴任地へ旅だっていった。
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