稲垣のマラソンランナー
ウォークマンから流れていた曲はまったく覚えていない。
この辺りを走っている時の写真がスポーツ写真サイトにあった。後ろから陽が照りつけて顔が暗く映っている。向かい風で暑さを感じなかったものの、体温は上がっていたのだろう。
稲垣潤一の「マラソンランナー」が聞こえてきた。
マラソンを走る状況を歌っているのはいいが「ギブアップはしたくはない」という歌詞はこの瞬間には露骨すぎた。そのまんまやないかという歌詞。次回もこの曲を入れたいが、もう少し前の方に入れよう。
27kmを過ぎた。
去年は26.9kmで歩き初め、42.1kmまで15km歩き通しだった。 ここから先を走り続けるのは未知の世界。今日は最後まで走り通す。それが完走を諦めないと言うこと。
28kmを通過。ラップ表示では現在時間がわからない。第三関門の制限時間まであと何分あるのか?時計に切り替えると12:40。
あと23分で3.3kmが残っている。
ここしばらく1km8分を切れていない。まずい、このままでは間に合わない。
ここからは全力で行かなければ。
ギアチェンジして全速で走り始める。
こんな力が残っていたのか・・と思うほど足が動く。だが足がどう反応するかはわからない。
「頼む、せめて関門を過ぎるまでは保ってくれ」
そう念じながら走る。
関門をクリアしても、その先が走れなくなるかも知れない。でも今はそんなことを考えている場合ではない。
いつのまにか西湘バイパスは終わっていて、一般道路を走っている。
交差点に親子連れが立っている。
「エネルギーをあげるよ!」
男の子がそう言ってハイタッチを待ちかまえている。
思わず笑顔になって、彼の元に駆け寄りエネルギーをもらう。彼はいつこういうコミュニケーションを学習したのだろうか。きっと飲み込みが早いのだろう。
30km手元の計時で3時間56分 当初の計画からもう10分遅れている。 第三関門は31.3km 柳島
13時3分(スタートから4時間3分)
あと1.3kmを7分で走らなければならない。だが走っている時はこんな冷静な計算はできない。ただ、全力でいくだけ。
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