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2007年6月13日 (水)

失格者の烙印

 「ありがとうございました」
 運転手さんにお礼を言って、タラップを降りる。
 途中で止められたとはいえ、30kmをノンストップで走って来た後だ。さすがに階段を下りるのはおっかなびっくりだ。

 「それ、デコのサインですか?」
 後ろから来た、リタイア仲間のランナー、スズキさん(仮名)が声をかけてくれた。
 僕もデコ好きなんですよ。
 デコもすっかり有名になったものだ。

 スズキさんは地元住民。
「この国道はいつも渋滞していて、地元の人は皆頭に来てるんですよ。その道を封鎖して走るマラソンがあるって言うから、さぞ気持ちがいいだろうと思ってエントリーしたんです」
 初めてのレースで5時間40分制限のフルマラソンに挑むとは、僕の上を行くつわものだ。

 僕らは観光客と一緒に江ノ島大橋の歩道を渡る。
 沿道にはサザエやハマグリを焼く露天が並び、芳ばしい香りが漂うが僕は心惹かれない。
 日曜日16時頃の江ノ島は観光客でごった返している。
 江ノ島大橋の車道はまだ封鎖が残っている。
 となりの歩道の橋は観光客で渋滞。
 その渋滞の中に僕らDNFのランナーも混ざり、荷物置き場を目指す。

 この時の光景を見た完走ランナーが
「失格者が橋をとぼとぼ渡っているのが可哀想だった。
 来年は制限時間の延長を」
とネットに書いていた。

 まず、制限時間についていえば、絶対に延長しないで欲しい。
 同じ条件でこそ、来年の再挑戦への意欲が湧いてくる。
 これで制限時間が延長されたら、ハシゴを外された気分だ。

 それにしても、人生のなかで「失格者」と言われたのは初めてだ。
 入学試験、入社試験、資格試験で不合格者になった経験はある。
 そして、失格という言葉はなかなかお目にかかれるものではない。
 ドーピングをするとか、私設エイドの差し入れを受けるといったルール違反
(湘南では私設エイドは認めていない)
があって、レースを除かれるのであれば「失格」でいいと思う。
 だが、関門の制限時間に間に合わなかったことは「失格」なのだろうか。

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