« 遅すぎたラッキー・イエロー | トップページ | 遅れる時間の意味 »

2007年8月 6日 (月)

ナマとレコードの関係

 何も後ろめたいことは無くても、検査は緊張する。
 高校の手荷物検査以来だ。
 こういう時、僕は必要以上に潔白を主張しようとする。

 入り口の検査官に向かってまず、チケットをかざす。
 当時はまだすべてのチケットはプレイガイドで売っていて、そのチケットもミュージシャンが独自に工夫を凝らしたもの。
 元春も後にロックンロールツアーではチケットに凝るのだが、この時はまだ、プロとしてやっていけるかを模索していた頃。特にオリジナリティのない、ありきたりの券面だった。

 「カバンは開けて入場してください」

 携帯もデジカメもPDAもない時代。
 バッグすら持っていない僕は、チェックしてもらう手荷物がない。
 ポケットから財布を取り出して、中身を見せようとしたが、
「行って行って」
とばかり、似合わないスーツを着たアルバイトの兄ちゃんに、しっしっと追われてしまった。

 ロビーに入ると、テーブルにレコードを並べて売っていた。
 コンサート会場で売るレコードにはもしかして、元春の直筆サインでも入っているのだろうか?
 興味津々で覗き込んでみたが、特に何の変哲もない普通の「Heartbeat」や「Back to the street」だ。

 プロ野球中継でスタンドのファンが映ると
「テレビでやっているのに、なんでわざわざ行くかね」
と言う人がいる。
 ナマで見るということは、レコードを超えるものを求めて、レコードだけでは我慢できないという人が起こす行動だ。
 レコードを持っているようなファンだから、ここに歌を聴きに来ているのだろうに、なぜそこでレコードを売るのかが不思議だった。

 その日、ツアーパンフレットがあったかどうかはわからない。あったとしても、そこで本物が見られるのに、わざわざ写真入りの本を買う人がいるのか・・と、見向きもしなかっただろう。



Welcome to the HEARTLAND TOUR 「東から来た男」もくじ



| |

« 遅すぎたラッキー・イエロー | トップページ | 遅れる時間の意味 »

音楽」カテゴリの記事