じゃがぽっくり
今年の夏真っ只中の頃、北海道から上京した佐藤さん(仮名)がお土産を買ってきてくれた。
「今、これとっても人気なんですよ」
商品名はじゃがポックルと書いてある。
お菓子には目がないので、喜んで受け取った。
だが、後で思えばこのリアクションは、佐藤さんにとってみれば、拍子抜けの薄いものだったかも知れない。
食べてみるとしっかり芋の味がするフライドポテト。
お菓子メーカーが作る同様のお菓子は芋に何かを混ぜて揚げているのだろう。
それに比べて「じゃがポックル」は芋を包丁で切って揚げたような素朴さがある。
二日ほど経つと、10パックが全部なくなっていた。
その2ヵ月後、北海道に行ってきたという高田さん(仮名)からじゃがぽっくりの話を聞いた。
もちろん、じゃがポックルの言い間違いだ。
高田さんは言う。
「この商品は空港、主要駅でしか売っていないんだ。買おうと思って行ったら品切れだった。お店の人が明日の10時に入るよと教えてくれたから、行ってみたら行列ができていた。早い人は1時間も前から並んでいたらしい」
かつて、香港の免税店で痩せる?ローション「スヴェルト」に並んだ僕は、芋を買うために1時間待つ人に親近感を覚える。
結局、たくさん買うことはできず、一人2本ずつくらいを、仲良く分け合って食べたそうだ。
じゃがポックルはカルビーが作っている。
カルビーの北海道限定ブランド「ポテトファーム」が、北海道産のじゃがいもとオホーツクの塩で作っている。
美味しさの秘密は「SUCCT製法」にあるとパンフレットに書いてあるが、SUCCT製法についての説明はない。恐らく「さくっと製法」の語呂合わせなのだろう。SUCCTにどのような単語をこじつけているのかは不明だ。
「じゃがポックル」という名前は、アイヌ民族に伝わる伝説のコビト「コロ・ポックル」に因んでいる。
商品パンフレットより
(以下引用)
コロ・ポックルとは、アイヌ語で蕗の下の人”を意味し、アイヌ伝説に出てくるコビトです。
恥ずかしがり屋で
人前に姿を見せることはないのですが、
夜中にこっそり食べ物を置いていくような優しい心を持ち、
幸せをもたらしてくれる神様として伝えられています。
(引用おわり)
セブンイレブンでも売っているジャガビーとじゃがポックルはどう違うのか?疑問が沸いたので、ジャガビーを食べてみた。
ジャガビー(うす塩味)はうす塩の分、塩が薄い。芋の風味もジャガビーの方が薄い。
ジャガビーはわずか40gで145円もするので、日ごろは買う気になれなかった。
だが、並ばずに近所のコンビニで買えるじゃがポックルだと考えれば、値段が高いジャガビーに価値を感じるようになった。
かっぱえびせんで育った世代にとって、カルビーは常に好意的に相対してきた会社。
カルビーはブランドを築くのがうまい会社だ。
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