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2007年10月26日 (金)

昔は自律神経失調症

 ある時、焼鳥屋の店員だった。

過度のストレスが原因で体調を崩していたという焼き場の佐藤さん(仮名)が店に復帰した。

 お店の創業以来ずっと続いているという夕方の朝礼で挨拶した。

「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
 また出てきましたので、よろしくお願いします」

 当時は自律神経失調症といった。
 自律神経は内臓や血管など人の意志に関係なくはたらく器官を支配する神経。生命の維持に必要な機能を自動的に調整する役目がある。

 自律神経には交感神経と副交感神経がある。
 交感神経=緊張、興奮状態のときにはたらく。
 副交感神経=緊張、興奮状態をおさめてリラックスさせるようにはたらく。

 この両者のバランスが体内の機能を維持している。
 このバランスが崩れるのが「自律神経失調症」。
 頭痛・目まい・疲れやすい・食欲がないなどの症状が出る。

 ただ医学的には「自律神経失調症」という言葉はほとんど使われない。
 ストレスの1つの言い方に過ぎない。

 そんなことを知ったのは、数十年後。この時は神経が削られて失われてしまう?壮絶な病気だと思っていた。この時の佐藤さんの症状は、今で言えば心の不調。それを身体を借りて訴えたものだ。

 さて、もしあなたが偉い人、たとえば社長や店長の職位にあり、佐藤さんの職場復帰の第一声を受け、社員の前でなんと言うだろうか。

 心の調子が悪い人に「がんばれ」という言葉はかけられない。
 周りのみんなに、それをわかって欲しい。
 ただ、その空気が本人に伝わらないよう配慮が必要だ。

 心を病む人は、とりわけ責任感が強い。
 周りが仕事を頼まないよう、頼らないように配慮することは、本人の受け取り方によっては、疎外感を感じさせることになる。

 さて、偉い人の皆さん。自分だったらなんと言うか考えましたか?
 この日、我らが店長さんは、佐藤さんの第一声を受けて、店員にこう言った。

「佐藤くんは、直ったわけじゃないからな。
 佐藤くんは、黙っててもがんばる人だから、
 無理させないように」

 悪気は無さそうな店長の言葉。だが、空気が凍りつき、みなの目が点になった。
 怪我の瘡蓋(かさぶた)が取れるように、心の不調には「直る」という明確な時点はない。
 佐藤さんは慌てて合いの手を入れた。

「いや、もう大丈夫ですから。がんばります」

 ついに言わせてしまった。


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