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2007年10月 9日 (火)

ノリックに贈ることば

 いつも新聞はスポーツ面から見る。
 昔のスポーツ面は後ろから3枚くらいめくった所にあって探しやすかったのだが、最近のスポーツ面は中面にあり、探すのに手間取ってしまう。

 今日は特に気になるスポーツ結果もないなと思って開いたそこに
「阿部典史さん事故死」
 なんだか随分、昔のことを書いているような評伝がつづく。
 きいてないよ、そんなこと。

(本文記事31面)
 俗に言う三面記事に客観的事実としての事故報道があった。

 川崎区大島一丁目の路上
 その住所をカーナビに打ち込んで、現場へ向かう。

 着いた場所には、それらしき手向けた花もない。道路は三車線。
 新聞には二車線とあった。
 交差する二車線の道へ曲がると、イベントでもやっているかと思うような路駐の車列。植え込みを隔てた自転車道路に無数の花と50人ほどの人垣があった。
 人は、野次馬としてではなく、事故現場に来ることに慣れていない。
 携帯のカメラを当てもなく向けている一人で来た男性
 束にした線香を燃す女性二人組

 手向けられた花束に向けてではなく、ノリックが倒れたであろう道路に向かい合掌する。
 ありがとう、ノリック
 君がYAMAHAに乗ってくれると知った時は 「うそだろう?信じられない」 と思った。
 君はあのままホンダに乗って、世界へ駆け上がるのだろうと思っていた。

 WGPに参戦した君は着実にゼッケンナンバーの数を減らし、近い将来、1をまとったマシンにまたがる日が来るのではないか?と、すべてのレースから目が離せなかった。初めての鈴鹿での勝利。今度こそ、こけないでくれ。親戚の甥っ子が走っているかのように、どきどきした。

 かつて君の監督だったウェイン・レイニーは、その絶頂期にレース中の事故で下半身の神経を失いレース引退を余儀なくされた。何をもって幸せとするかは人それぞれが決めることだが、レイニーには今も家族に囲まれた幸せな生活がある。

 君はまだ32歳。
 命あれば、これから多くのことを学び、多くの人と出会い、そしてその人達を幸せにしたことだろう。
 僕たち生ある者は、命のはかなさを知り、今生きる幸せを感じ、明日も新たな感動に出会うには、自分はどのように未来から来る時間に立ち向かわなければならないかを、日々、考えなければならないと思う。

 最後に君に贈ることばは「ありがとう」
 いつも君は爽やかな好青年で、レースを見るファンをより楽しい気持ちにさせた。

ノリック 阿部典史について

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