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2007年10月27日 (土)

日本シリーズを巡る幸せの順番

 2006年ワールドカップドイツ大会
 準決勝でアンリのせこいPKにより0-1で敗れたポルトガルのスコラーリ監督は、
「この数日後に3位決定戦を戦うのは酷だ」
 と言った。
 FIFAに2チーム分の銅メダルを作る予算がないわけでもないだろう。
 3位が2チームあっても、何もおかしくはない。
 ただ、日程もあるし、選手も拘束してある。とりあえずカネになるからやろうという存在価値が低い試合。

 さて、NPBのクライマックスシリーズ~日本シリーズはやはりダメだ。

 中日・落合監督
■2007年ペナント・レース前の談話
「日本シリーズは去年で終ったな」
■巨人リーグ優勝時の談話
「今年の三つのハードルのうち一つ目を越すことができなかったが、チャンスが残っている。悔しさをそこにぶつけたい」

 クライマックス・パでは勝者のヒルマン監督を胴上げしたが、クライマックス・セでは、中日は落合監督を胴上げしなかった。勝者の盾をかざしてはしゃぐウッズをコーチが制する姿も見られた。

 この時、選手たちはこう言った。
 「全然嬉しくない」
 「日本シリーズに勝たなければ、この勝ちの意味がない」

 一方、巨人上原は優勝を争っていた終盤。お立ち台でこう言った。
 「優勝します。それしか狙ってないです。クライマックスなんておまけみたいなもんだから」

 ペナントレース、クライマックスシリーズ、日本シリーズと続くレギュレーションの中で幸せな順にグループを分類するとこうなる。

 最も幸せ
  ↑
1、ペナント優勝、クライマックス勝利、日本シリーズ勝利
2、ペナント優勝、クライマックス敗退
3、ペナント2・3位、クライマックス勝利、日本シリーズ勝利
4、ペナント2・3位、クライマックス勝利、日本シリーズ敗退
5、ペナント2・3位、クライマックス敗退
  ↓
 あまり幸せではない

 3の場合、東京大学に3年から編入して、主席で卒業しました。
 よく知らない人からは「よっ日本一」と言われるし、「日本一」と言い張れないことはないが、自身には忸怩たる思いが残る。
 といったようなものだ。

 4の場合、クライマックス第1、クライマックス第2、日本シリーズと戦ったのに、結局何の栄誉も残らない。ピエロに等しい。

 このような厳しい精神状態で戦う選手は、それを貴重な経験と前向きに捕らえるだろうか。
 メディアで見る限り、中日の選手はとても集中しているように見える。それは、パターン4になった時の悲惨を思うとぞっとするからだろう。

 日本一という名誉がなくなった今、健康管理と翌シーズンへの準備を考えた場合、選手の本音を言えばパターン2が一番の幸せだろう。
 リーグ優勝が決まれば、あとは「おまけ」のカップ戦がだらだらと続く。いずれファンの興味も薄れる。

 それでも、NPBは「反省もあったが、一定の成果があった」などと言って、来期は「変則日程」をパセ同時進行に修正して、胸を張ってこの制度を続けるかも知れない。

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