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2007年12月 8日 (土)

揺り戻し

 「ヘルプデスク」という部署に勤めている友達は、ある日今井さんという社員からの問合せの電話に、うまく答えられなかった。
 その時、今井さんからこう言われたという。

 「そこは問合せをしたら何でも完璧に答えるのが仕事じゃないの?全然ヘルプデスクになってないよ。それじゃヘルプレスデスクだ」

 この今井さんに見られる傾向をしらべるでは「揺り戻し」と定義している。

まじめにやっているのに
ルールを守っているのに
お金を出して買ったのに

僕はこんなに・・
だけど相手のこの様はなんだ
こういう心理を「揺り戻し」と呼ぶ。

 自分は誰からも後ろ指さされぬよう努力している。
 人間は誰もがそのように真摯に努力するべきだ。
 努力を怠り、結果が出ていない相手はクズだ。

 こういう「べきべき君」の思考回路は「揺り戻し」によって起こる。

 ある時点まで(あるいは、今もあるテーマにおいては)
自分も不まじめだった。
ルール違反をする横着者だった。
お金がなくて買いたいけど買えなかった。

 だが、何かのきっかけで成長して考えを改める。あるいは状況が変わる。
まじめになった。
ルールを守るようになった。
お金が入って、買えるようになった。

 そうなると、人は自分が好きになる。
 多くの人にキモいと言われている「自分探し」という行為の終点は、この自分を好きになることだ。

 子供の頃から、愛と感謝に満ちた家庭に育った人は、元々他人を攻撃する素養がない。
 ゆえに自分はこんなに努力しているのに報われない。
 他の人も同じように努力するべきという「べき論」思考に至らない。
 このような人に「揺り戻し」は起こらない。

 「揺り戻し君」は成長してどんどんいい人になっていき、ますます自分を好きになる。
 だが、元はといえば「嫌いな自分」がいたことを深層で覚えている。
 ある時、それが他人を攻撃するという形で現れる。
 攻撃しているのは、かつての自分自身。

 揺り戻しを超えることで、幸せが訪れる。
 揺り戻しを超える方法は確かにある。
 だが、それは自ら学ばなければ身につかない。





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