ちびの話2
全国の犬ファンの皆さん、お待たせしました。
ちびの話後編です。
常夏のハワイみたいに乾燥した暑さ
ちびは小屋の中で日の光を避けていたんだけど、僕がやってくると、すたすたと力ない足取りで、小屋から出てきてくれた。
やぁ元気かい?ちび
なんだかつかれてるじゃないか。
そうなんだ。
この暑さでもうへとへとだよ。
そう言ったちびの脇に置いてあるブリキのお椀がひからびている。
僕は、そのお椀を見てすべてを悟った。
ちびは「ん?どうしたの?」ときょとんとしている。
次の瞬間、僕はブリキのお椀を手にとって走り出したんだ。
あいにく、庭には水道なんてない。
でも、堤防の向こうには川が流れている。
その川の支流の小川がその堤防の手前に流れている。
僕はブリキいっぱいに、小川のせせらぎをすくい取って
大切に一滴もこぼさないよう、そろりそろりと戻ってきたんだ。
その時の君を忘れない。
もう数十年経った今も、思い出して今三度
鳥肌が立ったよ。
僕の姿を見た ちびは首輪につながれた紐が切れそうになるほど駆け寄って、大きく前足を上げて迎えてくれた。
それはまるで暴れる馬のようであり、モーターバイクのレースで勝ったバレンティーノ・ロッシのウィリーのようだった。
まぁそんな面倒な描写を小学生の僕は知らないから
とにかく、わっ、これ? 当たり?
やっぱり。そうだろ そうだろ、な ちび。
僕はその1年後、父親の転勤に連れられて、フェリーで本土まで3時間もかかる離島に引っ越した。
ちびのことを、なぜ今日思い出したんだろう。
もう犬の寿命からして、とっくに天国にいる頃だよね。
僕は生涯で犬を飼ったことがないし、これからも飼うつもりはないから、ちびが僕にとって最初で最後の犬の友達だった。
あの頃、犬語翻訳機があったら、どうだったかな。
でもきっと僕は買ってもらえなかったな。
科学と学習だって、毎月は買ってもらえなかったし。
120円のジャイアントロボのソフビはおこづかいを貯めて買ったから。
でもそれ、ちびと僕には要らなかったな。
心通じ合う二人に、言葉は要らない
なんつって ^^;)
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