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2008年1月23日 (水)

出世の意味 責任者とリーダー

 以前「カンブリア宮殿」に産業再生機構の3人が出演していた。
 彼らがつくった「会社の危なさチェック 10項目」を見ていた。

「7つ以上、当てはまったら専門家に相談してください」

 7つ以上該当したら、会社はかなりやばい状態にあるということだ。
 彼らは、実際に"やばい会社"を再生する仕事をしてきたプロ。
 その洞察力は信頼に足るはずだ。

 さて10項目を聞きながら、指折り数えていったら、両手がぐーの手になってしまった。

 彼らは言う。
・高学歴のエリートは修羅場をくぐってないから使えない
・優しい上司が出世するけど、使えない

 サラリーマンならば、誰もがうなずくことだけれど、本当のことを言ったら干されるだけなので、誰も言わない。
 だから、当たり前のことだけれど、こうして堂々と言われると
「わっ、スゴイこと言うなぁ」
と驚いてしまう。

 でも、高学歴のこころ優しい上司その本人は、この番組見ていても、
「いやぁ、ありがちだなぁ」と他人事のように思うのだろう。

 まぁ、そういう中で、サラリーマンは皆、我慢して暮らしています。
と、これから社会に出る人に向かってアドバイスする人はあまりいない。

 率直に言って、一流の大学を出たくらいでは出世できない。
「超」がつかないと。

 一流・・くらいの人の場合、
 どこまでも性善説で、いい人キャラで、人と人の調整だけは死ぬほど巧い。
 そして世の中のどのような不条理に対しても、決して文句を言わず、改革してやろうと意気込まず、頑張らない人に対しても事を荒立てず、我慢強く笑っていられる・・
 そういう人ならば、出世できる。

 でも出世とは、責任者=管理者になることだというのが、若いうちはわからない。
 正確に言えば、責任者(マネージャー)とリーダーの違いがわかっていない。
 出世するとリーダーになれるのだと誤解している人が多い。
 この違いを理解することで、会社のなかで自分がどういう職制を目指すかが見えてくる。

 責任、権限というものは、あった方がいい。その方がやりがいがあるのだと、いつ誰に刷り込まれたのかわからないが、多くのサラリーマンがそう思っている。

 「責任」とは何かというと、部下に一定の働きを会社に提供させる責任。
 決して出世とは、おもしろい仕事ができる権利を手に入れることではない。
 責任者の仕事は、おもしろい仕事ではなく、おもしろくない部下のお世話をすること。

 ただそれをわかっていない責任者も多い。
 おもしろい仕事を全部自分がやって、人の管理をしない。
 こういう上司の部署ではトラブル、諍い、うつ病、サボタージュが絶えない。

 こういう上司の見分け方は簡単。
 トラブル、諍い、心身の疲弊、さぼりの事例を報告すればわかる。
 責任の意味を理解していない上司は、
「そんな話し聞きたくなかったな。耳に入れないでくれよ」
「そんな後ろ向きなことに捕らわれず、もっと前向きな話しをしようよ」
という姿勢を取る。

 責任者がリーダーの仕事をしていると部署はぐちゃぐちゃ。

 ここで誰かが言う。
「本当にそんなつまらない仕事だったら、責任者のなり手がいなくなるよ!」

 僕はこう答える。
 いえ、そんなことはありません。
 人間は権力大好きですから。
 心配しなくても次から次に、若い世代にそういう人が誕生してきます。

 起業して、一発当てて、40才でリタイアとか言っている若者がいるけど、あぁいう自分が豊かになることだけ考えていて、社会との関わり、社会の発展を蹴飛ばしていくような人がたくさんいるのが、その証拠です。

 肩書きではなく、仕事の質で人が付いてきてしまう
 それがリーダーである。





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