IE7はこなかった
Microsoftは2月13日、日本のWindows XPユーザーを対象に、自動更新でInternet Explorer7の配布をおこなう。・・・はずだった。
この 「IE7騒動」 は静かに日本のあちこちの企業で起きていたはずだ。
自動更新のダウンロードが終了した後、更新画面で「インストール」を選んだ次の画面で、このような画面が出る。 ・・・と、Microsoftのページには書いてある。
アプリケーションの中には、IE7に対応していないものがある。
例を挙げるならば、SAP-ECC(製造元:ドイツのSAP)がそうだ。
画面を遷移する時に、ウィンドウをポップアップさせるアプリケーションは、IE7では使えない。
IE7は複数のウィンドウをウィンドウではなく、タブという単位で管理するためだ。
IE6でも「ポップアップブロックが無効」の状態にしなければ使えない。
IE7のようにタブで新しい画面を開くブラウザーを「タブ・ブラウザー」という。
タブ・ブラウザーに対応していないアプリケーション(この言葉はシステムに置き換えてもよい)は多い。
世界で一番売れているERPと自称しているSAP-ECCが対応していないのだから、推して知るべしだ。
SAP-ECCなどのタブ・ブラウザー非対応アプリケーションを導入している企業の情報システム部門は、マイクロソフトが公開した情報を元に、IE7に備えていたはずだ。
ユーザーは新しくて便利なものを使いたがる。
Windows XP を勝手に WindowsVISTA に入れ替える人はいないが、IE6 を IE7に替えるのは、タダなんだから個人の自由だと思っている人が少なくない。
タブ・ブラウザーへの対応は、基幹システム全般で数千万円規模のお金が必要だというのに、お客さん気分、いや王様気分で、とにかく新しくて便利なものはすべて我が輩によこせ!と言い張る人がいる。
ど素人からある程度詳しい人まで、いろいろな人が集う「会社」では、なぜIE7を入れてはいけないのかを理詰めで説いておく必要がある。
IE7を勝手に入れて「エラーが起きました」と言って他人に手間をとらせたら、即座にクビ!
と言える会社だったらいいのだが、なかなかそうはいかない。
ユーザーは自分が勝手に入れておいて、何かエラーが起きれば
「IE7が勝手に入った」
「IE7が突然入った」
と、切り札である "勝手に" "突然"を使い無罪を主張する。
2月13日に予定されていたWindows Update の自動更新によるIE7ダウンロードでは、IE7が "勝手"に入ることも、"突然"はいることもない。
ただし、事前に情報が与えられていないと
「知らなかったから、自分は悪くない」
「情報システム部門が説明責任を果たしていない」
と "聞いてないよ攻撃"に出る。
各企業の情報システム部門は「2月13日になれば、このような画面が出ますから、この順番でボタンを押すのですよ」
と赤子に諭すように事前周知をしていたはずだ。
ところがである。その IE7はこなかった。
Yahoo!やGoogleでニュース、ブログを検索すると「IE7がくる」という話ばかりで「IE7がこない」という話が出ていない。個人ユーザーがブログで「来た」と書いているのがわずかに見つかる程度だ。
何かからくりがあるのか
狐につままれた気分だ。
マイクロソフトという会社はよくわからない。
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