鯨 対 牛肉
商業捕鯨が禁止されてから26年。
日本は調査捕鯨により、捕獲可能な十分な資源(鯨の頭数)がいることを明らかにして「論理的に」捕鯨再開を唱えてきた。
だが、反対派はその論理を門前払いして、耳を貸さない。
商業捕鯨再開に向けて、埒があかないならば、IWCを脱退すればよい。
現に一部の捕鯨国はIWCに加盟せず、堂々と鯨を捕っている。
環境団体が日本の調査捕鯨を邪魔するニュースは聞くが、商業捕鯨を邪魔したというニュースを聞かない。
鯨を守ることに燃えている環境団体が、商業捕鯨を邪魔しないわけがない。日本に報道されていないだけなのだろう・・
下関会議以降も、日本はIWCの枠組みの中で(=けつをまくってIWCを脱退することなく)捕鯨再開に向けて活動している。それは捕鯨推進派、捕鯨反対派による票集め合戦となっている。
IWCの動きをつづけよう。
2003年
6月18日、年次総会(ベルリン開催) 南極海での日本の調査捕鯨停止を求める決議を採択。
2004年
7月、年次総会。日本は南極海の禁漁区撤廃を提案。
投票権を持つ53か国中、賛成19、反対30、棄権2、欠席2。捕鯨推進側は19か国まで伸びてきた。
8月26日、農林水産大臣 亀井善之が「反捕鯨は鯨を、そして人類を救うか?!」という記事を小泉内閣メルマガ第152号に寄稿。クジラが人間の3~5倍の魚を捕食していることを紹介。
2006年
IWC総会における捕鯨推進国は70か国中36か国。
6月16日より70か国が参加してIWC年次総会。
日本は無記名投票方式導入を提案。
無記名となれば、ご都合主義で捕鯨に反対している経済大国に遠慮していた国も、しがらみなく投票できる。日本政府の読みは捕鯨推進国36、反捕鯨国33、不明1。
そして6月19日、日本が提案した「商業捕鯨を禁止する必要はないとする決議」が可決された。
だが、これを持ってして商業捕鯨再開とはならない。
捕鯨再開にはRMS(改定管理制度 Revised Management Scheme)の策定が前提となる。
それには加盟国の4分の3の賛成が必要。
70か国の場合、53か国の賛成が必要ということだ。賛成派はようやく過半数を超えたところであり、まだ捕鯨再開の途は遠い。
反捕鯨派は「日本が票を買って、過半数を獲得しようとしている」と言っているが、過半数では目的は達成されないのだ。
日本は「科学的な調査」に基づいて、次の持論を「科学的な根拠」として発表してきた。
鯨が増えることで連鎖バランスが崩れ漁獲量が落ちている。このままでは地球全体の食糧確保に支障をきたす。
・鯨が補食する魚は世界中の漁獲量の3~5倍。つまり世界中の人間が食べる魚の3倍以上の魚を鯨が食べている。
世界の年間海面漁獲量9,000万トン、鯨の補食量 2億8,000万トン
・日本の漁獲量はピークの半分に落ち込んでいる。
640万トン~1998年
・クジラは種類によっては絶滅どころか、増えすぎている。ミンク鯨の年間"増加"量だけを捕獲して得る食肉量は、牛30万頭に匹敵する。
・牛30万頭の食肉を毎年生産するには、牛 108万頭の飼育が必要。これには土地・飼料・人件費・熱帯雨林の伐採など多大なコスト・犠牲がともなう。
環境影響は大きい。鯨と同じほ乳類。
牛を殺していいわけがない。ですよね、環境団体さんと動物愛護団体さん。
捕鯨に反対の団体は、牛のと殺反対活動も熱心に行っているのだろう。
その報道が耳に届かないのは、日本のメディアが伝えないからだろう・・
捕鯨に猛反対を貫く国、米国、オーストラリアの主力畜産品は何だっただろうか。
現在、スーパーに時折並ぶ鯨は、需要と供給のバランスで供給が少ないため、牛肉よりも割高だ。しかし、コンスタントに水揚げされるようになれば、かかるコストが牛に比べてはるかに安い鯨のほうが、安く売られるのは自明だ。
捕鯨が再開され、安い鯨が日本の店頭に並び、消費が牛肉から鯨に少しでもシフトした時、困るのは誰か。
(24日につづく)
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