ガソリン代を車に乗っていない人が払う国
「すみません、明日ドライブに行くので25円お願いします」
4月のある日、佐藤さんは町内を集金して回っている。
町内会には 50軒が軒を連ねる。
今日は 50リットル給油するので、1家庭から25円ずつ集金しているのだ。
もちろん、佐藤さんは自分の財布からも25円を集金箱に入れた。
佐藤さん
「すみませんねぇ。お車持っていないのに払ってもらって」
鈴木さん
「仕方ねぇだろ。ガソリン代下げたら手柄になると思ってる人がいるんだから。まぁ佐藤さんに言っても仕方ないけど、ガソリン代は車に乗ってる人が払うもんだろ、まったく」
ガソリン代が安くなる1カ月で、国が失う財源は2.6兆円。
善し悪しは別として、東京都、愛知県以外は地方交付税交付金で食いつないでいる。
地方都市は公共事業で食べている土建屋でもっている。
そこに雇われている人がたくさんいて、その人たちが使うお金で食べている小売業、サービス業の人がたくさんいる。
公務員にしても、税金を払うその人たちがいるから、採用があるのだ。
道路特定財源で食べている人は、道路関係者だけではない。
"道路を造らなければいい" ということでは済まないのだ。
道路を造るお金を減額した分は、東京都と愛知県以外すべての人の暮らしに跳ね返る。
政府(自民党)は 2.6 兆円の財源不足分を補填すると決めた。
その補填に使うお金は、国民全体の税金で賄う。
つまり、ガソリンを佐藤さんが 25円安く買うことで起こる財源不足は、税金で埋める。
税金は車に乗っている人も払っているが、乗っていない人も払っている。
車に乗っている人が得をする分を、全国の乗っていない人が払ってあげるのだ。
日本は、この一ヶ月、ガソリン代を車に乗っていない人が払う国になった。
そのお手柄を立てた人たちがいる。
もし、政府(自民党)が補填を決めなかったら、どうなるか。
東京・愛知以外の人たちの収入がまんべんなく減る。
それは誰も補填しない。
車に乗っている人が得をする分、東京・愛知以外の人が損をするということになる。
全国の車に乗っていない人が補填するか?
東京・愛知以外の人に我慢を強いるか?
政府(自民党)は前者を選択したということだ。
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