動きやすい格好とは?
「7番アイアンっていつ使うの?」【 7 】
林由郎は、レッスンプロの元祖とも言える人。
これまで実際の指導を受けたレッスンプロには、
「今のスライスボールは右の足の裏が見えるくらい、早く足を返しただろう?それが原因だよ。次は右足をべたに付けたままで打ってみて」
というような指導をしてくれた人はいない。
手足をこう使えば、ボールはこのように飛んでいくと言うことは、プロならば体で覚えているのだが、それを鏡のように他人に投影して話せる人は少ない。
林由郎のビデオはそこがわかりやすい。
林ビデオで自学自習していた頃は、自宅でVHSのビデオを見ては、ポイントをメモ帳に控える。
それを持って練習場に行き、実際に打ってみる。という繰返しだった。
今ならば、DVDドライブ付きの小型ノートパソコンが出ているので、練習場でDVDを見ながら、その場で打つことができそうだ。
技術の進歩はこういうところでも、人の暮らしを楽しくさせている。
林ビデオは基本的なフォーム云々よりも、ここをこう治せば、いきなりスコアアップという実践的なヒントが中心だ。
素人にとって、とても多い局面は前足上がり。
つまり、スライスで打ち込んだ土手の枯れ芝に埋まったボールを外に出す作業だ。
普通のフォーム、普通の足位置では大きく左にひっかけてしまう。
左足下がりの場面も多い。
これはまずボールの芯に当たらない。当たっても大きくスライスしてしまう。
こうした難局が、林ビデオを見たことで、いとも簡単に打てるようになった。
特に左足下がりなどは、フラットよりもうまいのではないかと思うほどだった。
僕が難しいライ(ボールが置かれた状態)から、みごとなショットを繰り出すと、皆が
「ナイスショット」
「今のは、うまく打ったね」
と褒めてくれた。
今のは・・ではなく、いつでもあれくらいは打てるのだと言いたかったが、100も切れない素人が言うことではないと飲み込んだ。
それまで110さえ切れなかった時、林ビデオと教え方のうまいレッスンプロのおじちゃんに出会い、2度3度と100を切ることができたのだった。
この時、初ラウンドから 6年が過ぎていた。
その初ラウンドは山口県のゴルフ場だった。
翌日は山口で会議という日、先輩が来てこう言った。
「動きやすい格好してこいよ。襟がついたポロシャツがいいな」
動きやすい格好ですか?
会議に行くのに、おかしなことを言うものだ。
当時はまだ、営業にノーネクタイという風潮はない。
社内の会議なので、リラックスした服装で臨むということだろうか。
学生の頃、FUTATAで買った一枚きりのポロシャツを旅行バッグに詰めて、山口にやってきた。
会議は2日間と聞いていた。でもなぜ、仕事なのに休みの土曜日に会議をやるのかはわからない。それほど、厳しい情勢とも思えなかった。
そして、山口に来て2日めの日、生まれて初めてゴルフクラブを握ることになる。
そこは、ゴルフ場の1番ホールティーグラウンドだった。
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