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2008年6月17日 (火)

憲法41条、74条の改正

 16:00 公布・施行
 その日、公布する法律を法務省文書課にメールする。
 その後の手続きは法務省がおこなう。
 かつて、国会は国の最高機関で唯一の立法機関だったが、現在は国会とIDOが法律を作っている。

 国会では衆議院が先に審議して参議院に回す。現在、国会は独立した立法機関であり、そこで決まった法律にIDOは関与しない。一方、IDOは立法独立決裁責任者であり、IDO法には国会は関与しない。施行日時を条文に定めた法令以外は、公布即日施行される。

 川村政権が 2年目を迎えていた2014年1月、国民投票で憲法四十一条、七十四条が改正された。
 一見何の変哲もないこの無難な改正こそが、20年後のIDO法の布石となっている。当時、僕は東大法科大学院の一年生。司法試験に備えながら、この経緯を見守っていた。

 憲法四十一条
「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」
 この旧条文は、2014年に「国会は、国を代表する立法機関である」となった。
 三権分立なのに国会が「最高機関」なのは、元々理にかなっていない。学者達は、国民を代表する国会に敬意を表しているだけで、法的な“最高”を意味しないという“美称説”を唱えたが、法律の素人には屁理屈に聞こえた。

 また、立法の“法”を広義に法令と見立てた場合、条例・政令・規則なども範疇となり、国会が“唯一”の立法機関であるというのはおかしいという論理を構成し“唯一”も外れた。

 2014年当時、メディアが盛んに「政治家は職業化しており、司法はその御機嫌伺いとなっている。三権分立は名ばかり」と国民に周知して、世論が反発していた時代背景があった。国民投票では、四十一条改正の賛成票は74%に上った。

 憲法七十四条
「法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。」
 この条文は「手続き法」であり、本来陽が当たるような条文ではない。
 2014年の改正で「法律及び政令は、議会の決議によって成立する」と改められた。

 たとえば、連立与党が法律を採決したとする。国会では決まったが、総理大臣と国務大臣は違う政党で、どちらかが署名を拒否するかも知れない。四十一条改正で「唯一」がとれる分、七十四条で議会の力を強めてバランスをとった。
 この時、歯止めとして存在がクローズアップされたのが八十一条。
「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」
 この条文がある限り、立法府の暴走はあり得ないと説明された。
 いわゆる違憲立法審査権は、従前どおり国会法、そしてIDO法に対しても効力がある。

 IDOラボは法務省の管理物件。独立立法府が行政に間借りしていることになる。法務省がその気になれば、監視カメラや盗聴装置を仕掛けることもできる。
 この間借りは僕が、就任条件として橋本に出したお願いの一つ。予めIDO法に規定されていたわけではない。
 法律が犯罪の抑止効果となるのと同様に、誰にも後ろ指を指されない、ガラス張りの環境にIDOを置くことを、自ら申し出た。

 僕の所持品はすべて秘書の幸田さんが管理している。
 お小遣い帳はつけていないが、クレジットカードの利用明細も渡している。現金で大きな買い物をする時は、幸田さんに頼むことにしている。
 パソコンや映像音響装置は法務省の資産だが、唯一僕の資産は引き出しにしまった紙切れのメモ。これだけはどんな電子装置でも盗めない。

 法案を書きながら、その時考えたことを書き留める。
 立法ミーティングで、メンバーの言葉にヒントを得て書き留める。
 本を読み、思いついたことを書き留める。
 寝がけに思いつくことも多く、枕元にはメモとペンを置いている。朝起きるとメモが枕元に散乱している。

 いつか整理しようと思っていたが、とりかかることができず、5年分ため込んでしまった。
 詳細な自叙伝にするつもりはない。ただ、世界で初めてのIDOが、5年の任期をどのようなロードマップで過ごしてきたかを、大まかに記しておくのは有意義だろう。
 任期も残りわずかとなったので、ようやくこうしてとりかかっている。



次回は6月19日(木)に掲載します。

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