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2008年6月 3日 (火)

日本国用語集

 日本の教科書法
 生涯学習は臨教審が提唱し、1988年に生涯学習局ができたが、持続的で成功した試みとは言えなかった。

 日本のサラリーマンは、学校卒業まで集中して教育を受け、その後は定年まで働き続ける。
 会社と社会を経験してこそ、見えてくる学びの種は多い。
 科学技術は大きく進歩するため、学校に通っていた頃の知識はすぐに古くなる。
 しかし、ほとんどの人は学校を卒業した時点で、学ぶことをやめてしまう。
 社会人が再び学校に戻って学ぶ「リカレント教育」という概念は、1980年代に登場して、定着せずに消えてしまった。

 小学生から大学生には、学校の教科書があるが、社会人になると手元に教科書がない。
 社会に出てからの時間は、学校にいる時間より数倍も長い。

 財政投融資とはどんな制度だったのか、なぜスペイン語を話す国が多いのか、アフリカの国境線はなぜ直線なのか・・
 ふと疑問が湧いた時、手にとれる教科書があれば、社会に目を向ける人が増えるはず。

 「日本の教科書法」では、文科省が年次版「日本の教科書」を作成して、毎年 4月20日に全戸配布する。国語、算数、社会、理科の合本。国語と社会により多くのページを割いている。
 署名記事ではないが、社会科の「国際社会と日本」のページ前文は僕が書いている。

 1980年代までの日本政府は、軍事費が割安に済む分を公共事業に回していました。
 しかし、事業の決算をしなかったので大半が赤字になりました。国と地方の財政赤字は 1,000兆円を超えました。
 国が使い込んだ郵貯、年金は別の名目で国民に払ってもらわなければなりません。福祉目的という説明で増税が行われ、医療費と年金の負担も増えました。
 2000年代に入ると、中央省庁改革が行われ、特殊法人の資金源を断つために郵政民営化が行われました。
 国内が大変なんだから、海外に援助するなど以ての外という政治家、国民が多く、日本のODAは減額が続きました。
 2010年代に入ると、日本は「世界の工場」と呼ばれるようになりました。
 工作機械、ソフトウェア、運用技術という工業の三本柱が日本の独壇場となったためです。
 日本が何かを作るたびに、世界のどこかの国で産業が消えるという図式が生まれました。
 日本への風あたりは強まり、政府はODAをGNP比 0.7%拠出するという1970年のUN決定を、40年遅れでようやく承認しました。

 日本の発展はアジア各国の羨望の的でした。
 できれば、日本にアジアのリーダーシップをとって欲しい。そうアジア諸国は考えていました。
 2019年、日本はようやくその声に応え、かねてからオブザーバー的な参加に留めていたEAECを改組。より実戦的な極東経済共同体(FE)を組織したのです。

 巻末には前年の統計資料が載る。
「企業別研究開発費ベスト100」「企業別違法行為摘発件数ワースト100」は就職活動をする者にとって、重要な指標となっている。

 日本国用語集
 2034年当時の日本には、自らのことばで普遍的な価値を定義して発信する人は、ほとんどいなかった。
 誰もが中傷や批判、否定を恐れ、ネットでの情報発信を控えていた。
 インターネットが普及している国の、情報発信と受信を対比した指数「SR値(Send and Receive値)」では、日本は先進国最下位。
 2030年まとめでは、発信対受信が 5対95 となっていた。

 易しい文章が書けないのは、知識が足らないのだ。 小泉信三

 文章は答えである 文章の目的は「わからせる」「長く記憶させる」ことだ 谷崎潤一郎
            (ことばの定義法前文)

 人と人はことばでつながっている。
 ことばは笑顔を引き出すこともあれば、ナイフを引き出すこともある。

 IDOという制度の成否は、国民がことばにこだわりを持ってくれるかで決まると、僕は考えていた。
 そこで、国民が共有する用語集として「ことばの定義法」により「日本国用語集」を立ち上げた。

 素人はものごとを複雑にする。プロこそがものごとをシンプルにできる。
 素人は曖昧な知識と想像でものを言うため、話しがややこしくなりがちだ。
 一方、プロこそがその深い知識をもって、易しいことばで語るべきなのだが、そういうプロが少ない。
 言質をとられることを恐れて、難解な文章を書いてしまう。
 素人を煙に巻くために、確信犯的に専門用語を多用するプロも後を絶たない。

 このようなわかりづらい社会では、日常会話はスムーズに運ばない。
 話し合いは平行線を辿り、何も決まらない。
 人と人、異なる会社、役所、組織の折衝に時間がかかるのは、圧倒的な知識でその場をコントロールする人材が不足しているからだ。

 日本国用語集では、あらゆることばは短い言い切りの形で定義される。
 作るのは国。
 「あげ足とり禁止法」により、上げ足をとる人はいないので、クレームを恐れて、言い訳を並べる必要もない。

 国民は、知りたいことばが載っていなければ「このことばおしえて帳」に、リクエストを書き込めばよい。

 制作主幹は法務省。
 各省庁に編集担当者を配置した。それぞれの省庁はさらに専門家と契約を結び、新語・流行語についてはインターネット技術を使い、一般投稿も求めている。

 サービスレベルは、法務省があることばについて定義を要求してから、60分以内に回答を公開することを求めている。

 「参考人」「政府筋」「官尊民卑」といった政治用語から「録臭機」「絶対発毛」といった最新のヒット商品まで、国民の誰かが疑問に思ったことばはすべて収録されていった。



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