2~3本持って走れ!
「7番アイアンっていつ使うの?」【 13 】
その日、最初にゴルフをするホールをスタートホールという。
一般的なゴルフ場は18ホールで構成されており、9ホールずつの「アウト」と「イン」に分かれている。
アウトについたホール番号は1~9
インについたホール番号は10~18
通常はアウト→インの順番で回るのだが、そうすると午前中はインがガラガラになってしまい、もったいない。
そこで、アウトスタートの組とインスタートの組をつくる。
そうすれば、18ホールに最大限のお客さんを入れることができる。
打つ順番は、スタートホールでは、占い棒のようなくじを引いて決める。
次のホールからは、前のホールの打数が少ない人から順番に打つ。
打数が同じ場合は、さらにその一つ前のホールで打った順番に倣う。
ゆえに、ど素人は4番めが指定席。
野球ならば超一流の順番だが、ゴルフでは最低の順番である。
たまに、諸先輩を差し置いて1番になろうものならば、宴席で部長の上座に座ってしまったような、居心地の悪さを感じる。
第一打がナイスショットの場合は、打ち終わってから、歩いてよい。
小鳥のさえずり、聞き放題。
仲間との優雅な会話、し放題。
しかし、左右に大きくボールが曲がったり、チョロした場合は、クラブを"2~3本持って"全力疾走しなければならない。
この"2~3本持って"が、重要な心得だ。
初めのうちは、これがわからなくて、次打用のクラブを1本だけ、キャディバッグから抜いていこうとする。そこでベテランゴルファーからの指導がはいる。
「2~3本持って走れ!」
キャディさんは1組に1人しかいないので、4人分の面倒を見なければならない。
4人のキャディバッグを積んだ電動カートは、ボールがきちんと前に飛ぶ人たちの近く、標準的な位置にある。
カートはキャディさんが運ぶ。
キャディさんがど素人の世話でカートを離れる時は、残り3人の誰かが、代わりにカートを押すのがチームワーク。
少々、上達すると、この"代わりに押すカート"すら、誇らしい。
ボールの頭を打って、ボールがすぐそこに転がることを「チョロ」という。
チョロを打つような人は、その次もチョロを打つ確率が高い。
ゴルフで一番恥ずかしいのは、ショートホールの第一打、次の組が見ている前でのチョロ。
ショートホールでは、渋滞のため、次の組が追いついて、見物していることがある。もうちょっと、茶店でゆっくりしてくればいいのにと思う。
そこでチョロをやると、2~3m前方に転がった球を、あるがままの状態で打たなければならない。
ゴルフは "あるがまま" の状態でのプレーが基本。
ただし、ティーショット(第一打)だけは、ティーアップできる。
ティーはゴルフボールのスタンド。ティーを地面に挿して、その上にボールを置くことをティーアップという。中古車買取センターの会社名ではない。
上級者はアイアンで打つショートホールのティーショットは、ティーアップせずに打つ。
だが、ど素人!は少しでも打ちやすいよう、ティーアップする。
しかし、チョロした後の第二打では、もうティーアップできない。
次組の見知らぬ人の冷たい視線の中で打つ、第二打は辛い。
結果はどうでもいいから、とにかく、ボールを前に進めて、その場を離れたい。
ある時、そんな一心で打った無心の第二打、7番アイアンがボールを芯で捕らえた。
ボールを最後まで、しっかり見て打った。
その行方を追い視線を左に向けた時、140ヤード先のグリーンでワンバウンドしたボールが、カップに消えるところだった。
ショートホールのティーグラウンドから1打で入れば、普通ならばそれはホールインワンという。
このど素人め!と思って見ていたギャラリー(見物人の総称)は一瞬どよめき、見知らぬど素人!のホールインツーに、拍手を送ってくれた。
チョロの次打がナイスショットならば、その次は7番アイアンでいいかも知れない。
だが、次打もまたチョロの場合、5番アイアンが必要かも知れない。
次打がバンカーに入ってしまえば、SW(サンドウェッジ)が必要になる。
3通りの結果によって、カートまでクラブを取りに行っていたのでは、タイムロスが大きすぎる。
ゆえに、ど素人は"2~3本持って" ボールの位置へ急行する。
「お金を払っているのは俺だ」
と思ってはいけない。ゴルフは紳士のスポーツだから。
キャディフィーは4人が払っていることを、忘れてはならない。
キャディさんには、余計な手間を取らせないようにしなければならないのだ。
ど素人!の2~3本とは、7番アイアン、9番アイアン、PW(ピッチングウェッジ)が基本。
7番アイアンを持ってきたのに
「やっぱり、ここは10ヤード足りないから6番が欲しいな」
と思ってはいけない。
今あるもので、できることをする。
これが、ど素人ゴルフの基本。ゴルフ全般に言えることだ。
しかし、ゴルフにはまっている時は、これができない。
タイガーの目の覚めるような弾道
ハニカミ王子の豪快なスイング、
無いものをねだり、身にもついていない無理なスイングで、さらに泥沼にはまっていくのである。
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