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2008年7月22日 (火)

痴漢逮捕協力法

living 暮らし
【痴漢えん罪防止法】
 痴漢は被害者が唯一の目撃者であることが多く、他の性犯罪と比べてえん罪率が高い。その気はないのに、手が胸に当たったというだけで 5年の懲役と職を失うのはきつい。

 同法では被害者が現場で第一声を上げること、現場に居合わせた人は駅員に氏名と住民基本台帳番号を言い残す義務を課した。証人としてより多くの情報を得るためだ。ただし、捜査段階で協力義務はなく、えん罪裁判となった時だけ、証言義務が発生する。

 痴漢は常人逮捕が可能で、警察官でなくとも誰でも身柄を拘束できる。
 だが、触られた男を駅員に突き出せる女性は少ない。そこで「痴漢逮捕協力法」により、被害者が「痴漢です」と周囲に一声かけた時、居合わせた人に逮捕協力義務を科した。
 逮捕した人には日本ポイント制度により 1万ポイントが付与される。痴漢既遂者の量刑は懲役 5年以上。「痴漢防止法」により、見張りを立てるなど計画的な犯行の場合、共犯者もすべて同罪。また裁判で被害者と加害者が同席しないなど、被害者の個人情報保護と心情に配慮した。

 一連の痴漢対策法施行前の2034年時点で、鉄道通勤電車の70%に女性専用車両があった。そして同法施行により、痴漢にまちがわれたくない、痴漢被疑者を逮捕する自信がないという男性から「女性とは乗りたくない。男性専用車両も作ってほしい」という要望が鉄道各社に多数寄せられた。
 その結果、通勤電車は先頭から女性専用車、男女共用車、男性専用車が交互に編成された。
 「痴漢防止法」施行後、バス各社は男性専用バス、女性専用バスを走らせていたが、ただでさえ少ない便数がさらに減るので不評だった。そして法施行1年後、一台のバスを半分で間仕切りしたバスが開発された。ワンマン運転で後部の料金確認ができないため、100%プリペイドカード支払となった。前が男性、後ろが女性。女性が後ろなのは、進行方向に向かって後ろだと、男性客からじとーっと見られることがないためらしい。

 【かんたん説明法】
 社会保険庁年金ホームページのサービス「もらえる年金額メール」は、同庁の全ウェブページの中で、最もページビューが多い。
 自営業・サラリーマンの種別、住基番号を入れると10分以内に指定したメールアドレス宛に回答が届く。このサービスは「匿名メールアドレス禁止法」が前提となり実現した。

 「これから60歳まで毎月2万円ずつ支払うと、61歳から死ぬまでの間、毎月5万円もらえます。あなたが支払う掛け金総額は480万円。80歳まで生きたとして総額1,140万円を受け取ることになります」

 従来の情報開示では、年金は絶対大丈夫。自分で勉強して試算してくださいというだけで、かなり調べないと自分がいくらもらえるのかがわからなかった。
 「かんたん説明法」は、すべての国と地方のサービスについて、簡易かつ数字が一目瞭然の説明を求めている。

 「社会情勢により流動的です。だから、数字は言えません」
 これでは心が通わない。国民の側の足かせとして「あげあし取り禁止法」があり、善意の説明に対して、悪意で言質をとる行為は禁止されている。

 【犯罪被害者と災害被災者の報道規制法】
 犯罪被害者と被害者周辺への取材を一部規制。被害者の氏名・所属する団体等・住所の報道、写真の掲載を禁止した。

 「ご遺族のお気持ちをお察しします。私にも家族がいます。このような取材が悲しみを増幅させるかも知れません。しかし、エゴかも知れませんが、一人の報道に携わる者として、この悲しみを多くの人々に知ってもらう必要があるのではないかと思うのです」

 そういうのを、まさにエゴというのだ。

 暴力や危険運転致死で家族を殺された被害者宅に報道陣は押し寄せる。
 優しいことばで取り入って、大切な写真を“借りて”帰る記者がいる。
 写真を借りる目的は掲載だけではなく、他社に写真が渡らないよう(つまり、自社が独占するために)に遺族から取り上げること。同法では取材を通しての写真・物品の借り受けを禁止した。

 また事件現場ではメディアの人、機材、車両によって被害者の救護、捜査に大きな支障が出る。節度ある行動をしてもらうために、現場では独立通信委員会が配布している社名入りビブスの着用を義務づけた。

 葬式に行けば“涙の絵・怒りと哀しみのコメント”がとれることはわかっている。現場に赴く時、いったい何を考えているか。記者クラブにリリースを取りに行く時と同じノリで行っていないか。

 犯罪の背景を問い、対策を考えるならば行き先が違うだろう。
 被害者親族にいったいどんなコメントを期待しているのか。

 「そうですね。貧富の差が拡大し犯罪が凶悪化するという状況を冷静に分析して、日頃から危機管理意識を高めておく思慮がわれわれ遺族一同に欠けていたかも知れません。これを機会にいま一度身の回りのことを考え直してみたいと思います。国民の皆さんには今回のことを他山の石として、より想像力を高めて日々の暮らしを送っていただければ、亡くなった者も浮かばれると思います」

 遺族は普通、そんなことは言わない。



次回は7月24日に掲載します。



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