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2008年7月15日 (火)

移民法は帰化を求めず

 日本人と協調し、この地に生業を見つける者を歓迎する。
 犯罪行為を働くものを排除する。

 権限を与えられた者は権限の獲得ではなく、組織の繁栄のために働く。元々、日本は出稼ぎの対象国ではなく、ずっと住みたい国として、海外の人々が羨望のまなざしで見ていた。
 それは、日本の文化・環境・豊かさによる。だが一番大きな理由は、真っ当な外国人に対しては、日本人がとても優しく受け入れるということだ。

 日本人には島国根性などない。日本人を脅かす外国人に頑ななだけだ。礼節とルールに則った外国人には暖かい。

 「こんにちは佐野さん。この冬も寒くならないね」
顔を合わせるごとに、挨拶と笑顔を欠かさない外国人。

 「なに、見てるんだよカス」
という目でガンを飛ばす日本人。

 どちらの人に温かい気持ちになるか。どちらの人と同じ町で暮らしていきたいか。想像してみればすぐにわかる。
 暖かく迎えられ、定住権を得て、外国人は一生懸命に働く。それは、日本の繁栄につながっている。

 過疎地域では、それぞれ外国人の誘致に工夫を凝らしている。
 西欧人に人気の高い京都に近い兵庫県わかさ町では、週末には無料の京都散策バスツアーを組み、多くの外国人家庭を誘致した。

 移民法施行からこの4年で、旅行会社の企画商品「外国人永住者向けバスツアー」は全国に広がった。
 漁師の町、長崎県ごとう町では、漁業熟練者の多いベトナムに目を付けて、小学校の授業にベトナム語を取り入れた。
 町では毎週水曜日にベトナム語教室、土曜日には日本語教室が開催される。
 今では、町役場の会議室に入りきれず、近隣の魚目小学校の体育館を使っている。

 「ベトナム人街のような地域ができてしまうと、日本人の警戒感が首をもたげて、関係がうまくいかない。そのような垣根を極力つくらないように努めた」という原町長の言葉は、全国の自治体に大きな教訓となった。

 こどもの教育は、外国人家族にとって大きなネックである。
 世界の子供達を世界の大人が育てるという視点に立った対策が必要だ。
 たとえば「ベトナム人学校」のような私設校に通うには、年間平均50万円がかかる。授業料が払えないから学校に行かず、教育を受けない外国人の子供達。それでは、次世代の日本を支える人材として不安がある。

 外国出身子女への教育は、過疎自治体教委の腕の見せどころであり、現在のところ「ベトナム人学級」のような別編成方式と、通常クラスに出身国別に編入する方式に大別されている。
 新卒の教員採用試験では、外国子女クラス要員として別枠を設け、任意の外国語試験をおこなう自治体が増えている。その実情に合わせ、外国人クラス担任には毎月 3万円以上の手当を支給する「外国人クラス担任手当法」を施行した。

 「移民法」施行から3年経過時点の永住権取得者は20万人。この数値は施行時に厚生労働省が試算した通りだった。
 労働力を求めて、過疎地域と言われていた町や村に、企業の工場や電算処理センターが進出する。人が増えたことで、娯楽産業が進出する。
 そうして税収が増え、医療予算がつく。隣り町まで行かなければならなかった小児科や産婦人科の医者を、好待遇で呼ぶことができるようになった。

 従来法の国籍法では、日本に最低 5年住むこと、素行がよいことなどを条件に帰化を認めていた。
 日本語の「帰化」には日本国に同化するという意味もあり、国籍を取得することと民族に同化することは別ではないかという見解により、帰化ということばを使わないように配慮する人もいた。
 だがメディアとブロガーには問題意識がない人が多く、外国人の日本国籍取得=帰化ということばで片付けられてきた。

 果たしてアジアから日本に定住先を求めてきた人たちは、日本国の一員として徴兵された時、喜んで戦うだろうか。ブラジルから来たストライカーはセレソンを相手に、心に一点の曇りなく戦っていたのだろうか。
 「移民法」は労働力の確保を目的とした法律であり、一定の基準を満たした外国人に永住権取得を認めるが、帰化は求めていない。

 life 命
 【逆縁自殺を認めない法】
 親より先に死ぬ(逆縁)自殺を禁止する。親はこどもの辛さ、寂しさに寄り添う義務を負う。
 親より先に逝く自殺を禁じたのは、それが人として守らなければならない最低限のルールだと思うからだ。
 目標法であり、罰則はない。



次回は7月17日(木)に掲載します。

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