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2008年7月 4日 (金)

パワーハラスメント規制法の廃止法

 【パワーハラスメント規制法の廃止法】
 2000年代のデフレを克服した日本企業は、効率至上主義、内部統制、法令遵守というたくさんの鎧をまとった。
 その結果、外国資本のIT企業が莫大な利益を上げたが、日本企業は活力を失った。
 傾きかけた英国で生まれたITILが、熟成した叡智を持つ日本国民に不要なことは冷静に考えればわかるのだが、何せ似非エグゼクティブは、形にはまった論理に弱い。

 未曾有の業績をあげながらも、自由に考えることが禁止され統制された企業は活力を失い、笑いが消えた。
 2020年代には「出世はアホがするものだ」という現在の価値観が定着した。
 高い給料と引き替えに「部下の世話」という雑用がのしかかるライン。
 そこそこの給料でやりたい仕事を極めるスタッフ。
 後者ならば「加業」もなく、夕方の5時には会社を出て、友達や家族と多くの時間を過ごすことができる。
 2020年代は、人間の評価は会社の中にあるのではなく、社会の中にあるのだということが、明らかになった十年だった。

 誰もがラインを嫌いスタッフをめざす。プロジェクトマネジメントを学び、プロジェクト・リーダーには手を挙げるが、マネージャーにはなり手がない。
 そしてスタッフに権威を振りかざすラインは、日本からいなくなった。そんなことをしても誰も相手にしないし、仕事が回らない。2012年に制定されて、過去の遺物となっていた「パワーハラスメント規制法」を僕が廃止した。

 computer コンピューター・情報処理技術
 【誕生日 4桁をパスワードにするのを禁止する法】
 すべての公的機関、金融機関と上場企業が提供するコンピューター・システムに対して、誕生日付 4桁とパスワードをぶつけて、エラーチェックするロジックの導入を義務づけた。ユーザーは誕生日をパスワードに使うことはできない。

 電話番号の末尾 4桁については、パスワードに使わないことを努力義務とした。電話番号は公的データベースでは管理していないので、一律にロジックで網が掛けられない。ただ、従来から個々のウェブサイトでは、電話番号末尾 4桁をパスワードに使わせないロジックを入れている。

 「誕生日をパスワードにするなんて、今どき、そんな人いるんですかねぇ」
 立法ミーティングの席で、伊藤君が嘲るような口ぶりで言うと、18人のうち 3人が下を向いていた。

 ecology 環境
 【環境維持法】
 企業には、事務所の屋上緑化 50%以上を義務づけた。
 またすべての新築物件とリフォームでは、ソーラーパネル発電か風力発電による自家発電装置の取付を義務づけ、関連部品とソフト代は消費税を非課税とした。

 これにより、マンションの発電所化が進んだ。
 従来は、電気を電力会社に売ることは一戸建てでしかできなかった。通常はマンション内で各戸に配電して従量課金し、余剰発生時のみ電力会社に販売する。それまでは、論理的には可能でもニーズがないため、コンピューター・システムを開発する業者が現れなかった。同法を契機にマンション向け電力管理システムが開発された。

 地球に住む生物は環境に寄り添って生きている。その中で、人間だけが環境を変える能力を持っている。
 一万二千年前、大阪湾から瀬戸内海にかけての一帯は森だった。
 大角鹿やナウマンゾウが暮らす湿地帯。それが、急激に気温が上がった数百年の間に海に沈んでしまった。
 もし、瀬戸内が海に沈まなければ、鳴門の渦巻きも早鞆の瀬戸の急流もなかった。四国の人々はたくさん橋を架けることなく便利に暮らしていただろうが、橋の代わりに、使われない文化施設の税負担に苦しんでいたかも知れない。

 現代人は環境を変える能力を持っている。
 瀬戸内は天変地異によって海に沈んだが、20世紀以降の地球温暖化は人為的なものだ。
 地球46億年の歴史に対して、人類の歴史は原人以降で50万年。地球の一生を24時間に換算すると、人類は生まれてまだ 9.4秒しか経っていない。そんな人類が地球を大きく変えていく。

 2008年から2012年の4年期で、日本は京都議定書の約束である「温室効果ガス-6%を2%しか達成できなかった。排出権国際取引、国際技術協力でみなし3%をようやく確保するに留まった。
 環境プログラムISO14001が1996年に制定されて以来、日本の企業、組織は取得件数世界一を続けている。2035年現在の3万件は、2位ドイツの 9千件を3倍引き離している。

 ISOやITILのような文書定義そのものには意義がある。ただし、その利権を維持するための権威づけに僕は与しない。
 このような行動規範としての規格は、なくても人がそのように動くべきであり、消滅することが望ましい。だが、問題解決のための臨時機関であるユニセフやUNHCRがそうであるように、長い間、問題が残っていると、いつの間にか、維持することが使命に替わる。IDO法では、支配する側の新たな権益は作らないという軸に沿って、サブマニュアル的な規格は一切作らなかった。

 環境対策の一つの柱は国による法律からのアプローチだが、もう一つの柱は、国民が自らライフスタイルを変えること。
 「環境を思う消費者法」は「ゴミを買わない。少なく買う習慣を身につけましょう」という前文で始まる。
 買い物にはマイバッグの持参、レジ袋拒否が義務となっているが、実際に取り締まりが行われるわけではない。お店側も、手ぶらで来た人に袋を出さないわけにはいかない。そこで日本ポイント制度と連動させた。
 レジ袋を断った消費者がクレジットカードまたは住基カードをレジにかざすと、レジ袋拒否の 5ポイントが加算される。同様にして、グリーン購入法特定調達品目を買うと売価の 1%がポイント加算される。いずれも2007年頃から、個々の大手スーパーがやってきたことを、国としてとりまとめた。
 こうして、法律を遵守した人が得をするという空気が生まれれば、2009年に裁判員制度が始まってから蔓延した「法を守った方が損だ」という発想がなくなっていく。

 2000年以降、毎年300億枚消費されていたレジ袋は、ほぼゼロになった。贈答用途として紙袋は規制しないため、紙袋の消費量、年間およそ28億枚は変わっていない。
 ポイントはポイントだった。



次回は7月7日(月)に掲載します。

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