« ゴマ鯖は4人で5つ | トップページ | 上下に揺れるのぞみN700系 »

2008年8月22日 (金)

人前に出たIDO

 野田 福岡県知事の話は時間どおりに終わり、号砲まであと10分。
 司会の女性のアナウンスがはいる。
 「それでは、ここで臨時ゲストの登場です。ではよろしくお願いします」

 「まぁだ あっとか。もう話はよかぞぉ」
 清水さん(50歳)が叫び、どっと周囲が沸く。

 ちょっとごめんなさい。
 僕はランナーをかき分けて進む。
 雑踏の中には一本の道が見えていて、それは水路のように僕を導いている。
 糸をたぐるようにして、ランナーの樹海を抜けたところに幸田さんが立っている。

 「はい、サングラス」
 受け取ったサングラスをかけてみると、ジャストサイズ。

 放送席に一礼して、朝礼台の後ろに回り込み、階段を一気に駆け上る。
 ランナーは目標タイム別に、2時間台から6時間台までのブロックに分かれて並んでいる。
 荷物は預け終えていて、あとはスタートラインにつくばかり。
 野田知事と僕は共に身長180センチ。
 スタンドマイクはぴたりと顎の位置に決まった。
 さっきまで知事の顔を大写しにしていたスーパービジョンのスクリーン映像は消されている。

 IDOの佐野です。きょうは博多マラソンば走りに来ました。

 競技場の音がセミ時雨だけになった。
 短い命を凝縮して、時を惜しむかのように喧しいセミたち。

 ひと呼吸あって「おーっ」という喚声が彼らの声をかき消す。
 まばらなスタンドで、一斉に携帯のカメラを取り出す観客たち。

 「あいた、カバンは預けっしもたばい」
手ぶらのランナー達が地団駄を踏む。

 今日のコースは福岡県庁のスタッフが博多
らしいコースにしようと一生懸命考えたものです。
 県警と市民のドライバーも快く協力してくれて、
土曜日というのに七時間の交通規制ができました。

みんな、今日は晴れてよかったねっ!

 皆反応しきれず、やや小さく
 「おーっ」

 ロック歌手か
 すべった僕に、IDO室のみんながバカ受けしている。
 今日は幸田さんの笑顔が大きい。



次回は8月25日に掲載します。

「独裁者」もくじ

| |

« ゴマ鯖は4人で5つ | トップページ | 上下に揺れるのぞみN700系 »

novel 独裁者」カテゴリの記事