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2008年8月 7日 (木)

全企業を対象に「人事評価基準公開」を通達

 戦後の日本が、国際競争力の高い国に育ったのは、官僚の主導によるところが大きい。
 官僚が精査した法案を族議員が国会で通す。
 こうして外国との競争分野では、日本にとってのご都合主義を軸にして国内産業を守ってきた。

 そして、国家が体を成した後、官僚は自らへの成功報酬として、国の金が自分達に回る仕組みを作った。
 インプットされる財源は財政投融資。アウトプットのご褒美は天下り。
 この国をつくった功労者の官僚が、豊かな老後を送ることはよい。仕組みを作った功績は、いつの世でも讃えられ、応分の評価と報酬を受けるに値する。

 だが、先達が作り上げた国を維持しているだけの「その後の官僚」達の濡れ手に粟はダメだ。
 第二次世界大戦直後は、国の仕組みを作るために、優秀な人員を中央省庁に集める必要があった。だが今、その必要はない。
 国家公務員が大卒就職先の一番人気という状況がおかしい、と気づかなければならない。

 僕は独裁者であり、議論や交渉で相手を打ち負かす必要がない。
 ただ、会話をするだけだ。
 会話をしたら、後は自分が決めるだけだ。
 だが、越権立法案件だけが違う。
 ブリーフィング後、一週間以内に総理大臣が署名すれば公布。総理が署名しなければ法案は流れる。

 谷村総務大臣はブリーフィングで反対したが、一週間後「天下り禁止法」が公布・即施行された。
 施行二ヶ月後、今度は「天上り奨励法」の越権立法協議で再び谷村大臣に来てもらった。

 天上り奨励法
 国家公務員の採用枠のうち、30%以上を民間法人経験者に充てる。公務員ではない職場経験がであれば、誰でも受験できる。

 谷村大臣は何を言っても無駄と思ったのか「特に意見はありません」という意見以外は、一言も口をきかずにIDO室を後にした。

 任期は残すところ三か月。
「すべてのIDO法を三ヶ月で見直す法」が廃止されない限り、次のIDOが維持を明言しない法は三ヶ月後にはすべてなくなる。

 IDOは留任するのか?
 僕が退任して、IDO千法はすべて消えてしまうのか?
 僕が「すべてのIDO法を三ヶ月で見直す法」を廃止して、IDO千法を残すのか?
 正解を知っているのは、僕とあと二人ないし三人ということになる。

 EIDO
 僕がIDOに就任する5年前の2029年、水野総理の任命で就任した渡邉EIDOにより「思考停止の10年」は終止符を打った。
 「経済を動かしているのは人。私は経済が人を動かすのではなく、人が経済を動かす社会を作りたい」
 渡邉EIDOの金字塔は、企業の人事評価制度に切り込んだことだ。

 彼は全企業を対象に「人事評価基準公開について」という通達を出した。
 この行政指導は、四つの人事評価基準の明文化と社員への公開を求めた。

一、学歴出身校
二、成果評定の数値基準
三、情意評価判定基準、
四、資格評価基準

 このうち直属上司の感情が入るのは情意評価だけ。
 通達であり、法令ではないので強制力はないが、言外に感情で評価する幅を狭めよと求めているのは明白だ。

 企業の人事部は「学歴重視」で「出世コース」のレールを敷いていることを否定してきた。
 元々、公平にチャンスを与えるつもりはなかったのだが、それが社員にばれると動機付けが難しくなる。
 就活の学生が「御社の評価基準は?」と尋ねると、判で押したような答えを返していた。
 「うちは実力主義です。学歴は関係ありません。今どき学歴にこだわっていたら競争に勝てませんからね。力がある人を登用します。上司におもねる人ではなく、リーダーシップを取れる人を求めています。それにうちは、のどかなくらい自由な社風なんですよ。学閥とか派閥ということばには縁がないんです」

 学生は本当の答えを聞こうと思って質問していたのではない。
 その会社の真っ当さを探っているのだ。答えは既に「会社四季報」で役員の出身校を見て知っている。

 「上司におもねる人を認めない」
 と人事部が口にする会社があれば、それはすばらしい会社だと感動するのではなく、人事部がわざわざ口にして牽制しなければならないほど、情実にまみれた会社であると考えるのが妥当だ。

 「超がつかない一流大学」と「二流大学」を出た人も「学歴社会」であるとは知っている。それでも、真っ当に頑張りさえすれば「偉くなれる」と信じて20代、30代を過ごす。



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