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2008年9月 1日 (月)

2000人は逝きますね

 2000年代にはいり、回転寿司が外国に普及したために、世界中で魚介類の消費量が格段に増えた。
 だが、相変わらず、商業捕鯨を禁止して、鯨に人類の3倍の魚を食べさせていたために、人間が食べられる魚は激減。
 2030年時点では、豚ばら肉が100g180円と過去30年間ほとんど横ばいなのに対して、さんま一匹800円、鯖一匹1,000円と、およそ5倍になった。

 鰻は2020年以降、シラスの養殖が軌道に乗り、十分に供給されていたので「エビ・マグロを時々食べる法」を作る際、対象としなかった。

 僕が「自給可能食糧自給率100%法」を出したあと、EIDOの施策で、エビ・マグロ同様、養殖業者は法人税を5%減免されている。

 日本で一年間に売れ残る食糧 1311万トン
 世界で一年間に行われる食糧援助 1000万トン

 安全な国産品を食べるよう注意を喚起する。
 小欲知足の心を持って食べ物に接するという目的を持つこの法は、IDO就任直後に「自給可能食糧自給率100%法」を施行した時に、既にアイデアとしてはあった。

 だが、独裁者が就任していきなり「エビを食べるな」などと言い出せば、ただの変人と思われかねない。
 国民の心が一旦離れれば、1000法は駄法となる。

 就任から4年が過ぎ、世の中にIDO法の軸と使命への共感が生まれたからこそ、「エビ・マグロを時々食べる法」のような法律は、違和感なく迎えられた。

 磯田祐子は動かなくなった車エビにビールを呑ませている。
 「跳ねないねぇこのエビ。お疲れなのかなぁ・・」
 高級中華料理屋の再現を狙ったのだろうが、ビールくらいのアルコール度数では、エビは驚かない。

 さっきまで「蒲田の町工場の出先が、マレーシアで100か所を超えました」というニュースを伝えていたbola!ラジオが、短いサイレン・ジングルと共に、臨時ニュース・モードに変わった。
 皆が仕事の顔に替わり、おしゃべりと手を止める。

 臨時ニュースです。
 きょう日本時間17時39分、トルコの首都イスタンブールで地震があり、大きな被害が出ている模様です。現在、アルジャジーラを介して情報を収集していますが、現地で取材に当たっているアルジャジーラの記者によると、1000人近くの人が亡くなった模様です。

 「IDO、これは 2000人はいきますねっ!」
 伊藤君のことばに、情報収集に走ろうとした皆の足が止まった。

 「アルジャジーラの記者っていうのは、多分アレシャンドレのことだと思うんですけど、彼の数字はいつも少なめで、EUのテロの時も、300人の被害者を最初は100人って言ってたんです」

 勉強家である伊藤君の冷静な分析はもう耳に入らない。
 気まずい空気に皆の視線が宙を泳ぐ。

 人の命を
 2000人はいきますね か・・



次回は9月4日に掲載します。

「独裁者」もくじ

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