MLを使った無責任な仕事 「生命保険の説明書」方式
「たまには、パソコンのデータをバックアップしよう」ということになった。
仕事で使っているパソコンは、滅多にバックアップを取らない。
最後にとったのは、いつだったか記憶がない。
700MB以内ならば、CD-ROM1枚に入る。
確か、前回はCD-ROM1枚に収めた気がする。
スタート>エクスプローラを開く
マイコンピュータ>ローカルディスク(C)>Documents and Settings
右クリックしてプロパティで、容量を見る。
100MB ・・・ 500MB ・・・
数字がカウントアップしていく。
1GB ・・・ 2GB ・・・ なかなか止まらない。
ようやく数字が止まった。
ディスク上のサイズ 13.0GB
なんだ、それは?
いつの間に、僕はそんな仕事人間になったのか?
その肥大なファイルの正体はメール。
それも、余計に届くメールだ。
MLを業務に使うようになって、仕事は便利になった。
MLはメーリングリスト。
リストに複数の登録しておくと、その宛先に一斉にメールを送ることができる。
「ISO14001関連プロジェクト」というプロジェクトがあるとしよう。
このプロジェクトには10人が関与している。
その10人は部署がばらばら。
違う会社の人も1人入っている。
このプロジェクトについての連絡メールを出す時、10人のアドレスをその都度指定するのは大変だ。
eメールが始まった当初は、メーラーのアドレス帳に「新しいグループ」を作って、そこに10人を登録していた。
ただ、アドレス帳は個々人のパソコンの中にあるので、10人がそれぞれに「新しいグループ」を作らなければならない。
パソコンが苦手な人はこういうことができないので、毎回、送信に手間がかかる。
また、アドレス帳のデータを使って、迷惑メールを送信するウィルス・プログラムが多く、アドレス帳の使用はためらわれた。
MLは責任逃れに便利だ。
このグループにメールを送りさえすれば、後から
「俺には話がなかった」
「聞いていない」
攻撃を受けることがない。
メールをしておけば、
「俺は伝えたからな」
「説明したからな」
と言い張れる。
だから、MLは一気に世の中に定着した。
だが、あまりにたくさんのメールが届くので、次第に人はMLをまじめに読まなくなる。
メール本文の先頭に 「佐藤 様」 と自分の名前を発見した時だけ読む。
MLはざっと読む。
だから、自分へ届いた大切な依頼を読み飛ばしてしまうことも、ままある。
すると、今度は、送る側も手を打ってくる。
MLには入っている人なのに、さらに、本人アドレスを宛先に入れる。
あなたの仕事ですよ!と強調する。
これをやられると、同じ内容のメールが2通届く。
メールを責任逃れに使う、現代のサラリーマンは、メールにさらに
「添付ファイル」
をつける。
添付ファイルがついたメールを
「メールを転送します」
と一言だけ書いて、仕事は終わったと思う人がいる。
あとから、この話聞いてないよね?と言うと、
「●月●日 ▲時▲分にメールしてるよね」
とくる。
えっ、そうなの?
と、そのメールを探し当てると、そこには
60ページのスライドショー
が、ついていたりする。
こういう人の仕事のやり方を、名付けて
「生命保険の説明書方式」と呼ぶ。
| 固定リンク | 0
「ビジネス」カテゴリの記事
- SLIM H3ロケット 日本のロケット団は成功ラッシュ しらべるが選ぶ2023年の5大ニュース【4】(2024.12.31)
- 「速度が落ちていますよ」とびびらせる小谷E 安全・生存へ大いなる一歩! H3ロケット3号機 だいち4号の軌道投入に「成功」(2024.07.02)
- H3ロケットのRTF成り、夜ここに明ける。岡田匡史PMがみせたユーモアと笑顔(2024.02.19)
- 「それは一般に失敗と言います」から1年 H3ロケット2号機が打ち上がる(2024.02.18)

