生まれて初めて斜めに切るみそかつ
のぞみ99号で行く品川~博多の旅【 9 】
みそかつは弁当箱にきちきちに収まっている。
弁当箱の折とは、ほとんど隙間がない。
やってみるとわかるのだが、ナイフで切る時は、とんかつの向こうと手前に空間があって、初めてナイフが上下に走るのである。
この弁当箱はその空間がない。
真上から、とんかつのエッジに歯を立てても、よほどの切れ味ではない限り、肉は切れない。
もちろん、十分に柔らかいロース肉なのだが、ナイフの方が所詮、プラスチックである。
そこで、ナイフを斜めに入れることにする。
トンカツはタテに切り分けるのが、ちょうど一口サイズだが、斜めにきったトンカツはかなり大きな一切れになった。
大きくあけて、ぱくりと口に放り込む。
味噌がよく浸かっていてうまい。
最高に幸せな気分が広がる。
味噌かつは揚げたてじゃなくてもうまい。
もちろん、とんかつはどれも冷めてからもそこそこにうまい。
ただ、味噌かつが冷めてからの美味さは、他のとんかつを圧倒している。
数あるとんかつの中で、味噌かつだけは揚げたてと冷めてからのうまさが同等だ。
味噌かつをナイフで切るのは楽しい。だが、狭い車内、狭い弁当箱で切るのは難しかった。「だるまの人は、車内で食べたことがないのでは?」とも考えた。
ねりからしがついている。
一応使う。
甘い。つーんとこない辛子。
これが、けっこう味噌かつに合う。
180gの味噌かつの、残り60gあたりで、このからしを登場させるとよいだろう。
さすが、名古屋駅弁の雄「だるま」。
問い合わせた時の対応の良さといい、研究を重ねたこの味といい、ファンになった。
ごはんもうまい。
冷めてからが勝負の駅弁の要諦を押さえている。
みそかつの面積より少なめというのもいい。
最後の一切れを残して、窓からの景色をみて一休み。
「奈良の柿」「ローズふとん」 遠目に建てられた田んぼの看板を追う。こうして看板で見た商品を実際にお店で見たことがあっただろうか?
土曜日の朝、部活に励む中学生が校庭のトラックを走っている。この時間、部活をやっているということは、当然、公立である。都会の子供に比べて、実直そうにみえる。
ふーっと息をついて背もたれに体を沈めた時、名古屋から乗ってきたD列の兄ちゃんと肘がぶつかった。
そうだ。
この肘掛けは、いったい誰のもの?
不定期で続く
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